番外編【焦る彼】 ページ26
side：アズール
＊＊＊
VIPルームに来てくれたAは、かれこれ1時間ほど通話をしている。その相手はマレウス・ドラコニアさん。茨の谷の次期当主、世界で5本の指に入るほどの実力を持っている魔法士。
気にしないようにしていても、笑い声が響くたびに確認してしまう。もし、Aの気持ちが僕から離れてしまったら。そんなことを考えては持っているペンがミシリと音を立てる。
あるはずがないと首を振っても、あんな様子を見せられるとその自信が揺らいでいく。いつからこんなに弱気になってしまったんでしょう。
はあ、と重いため息をつく。Aはそんな僕にも気付かず談笑中だ。思わず会話を遮ってしまいたくなる。いくら僕たちのことが好きだといっても、会話の邪魔をするような男には興醒めするでしょう？
余裕がないのは僕だけじゃないですか。Aが他の男に靡かないか目を光らせていても、マレウスさんほどの実力者だと勝てるわけがない。
「ああ、そう？いつ？」
「その日は難しいから、別の日にして」
「それなら、まあ……リリアさんは？」
とうとうペンが折れた。我慢の限界だった。
Aは僕の番なんですよ。取られたくない。他の雄のところになんて行かせたくない。
ソファーに座っているAに近付いて隣に腰を下ろした。それでようやく僕に目を向けるA。
スマホを持っている手を引き寄せて手首に口付けた。そのままAを見ながらスマホを抜き取る。画面に出た通話終了のボタンを押して、僕のポケットに入れた。きょとん、と不思議そうな顔に愛おしさが込み上げる。
「アズール？どうしたの？」
「……あなたが取られてしまうのかと思ったんです」
「っふふ、そっか」
切れ長の目が緩く弧を描いて細められる。その瞳に僕だけが映っているのを見て、ようやく安心できた。
Aはまだ僕のことが好き。僕はまだマレウスさんに劣っていない。嫌な音を立てていた心臓が普段通りの鼓動を取り戻して、安堵の息をついた。
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怜(プロフ) - ミルクショコラさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます〜！赤面に関しては人それぞれなので新たな知識と言えるかどうかは分かりませんが… (2021年3月30日 0時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - あと、自分あんまり赤面とかしないので、あ、耳の後ろから熱広がるんだなぁとか思ってました。新たなる知識を得ました。← (2021年3月27日 22時) (レス) id: 2e73fce6ea (このIDを非表示/違反報告)
ミルクショコラ - わぁぁ…え、ちょ、やばぁ…ｽｯ好きです！！！(大声)この作品を読んでいてめっちゃにやけてしまった…なんか、ホントに好きです。(語彙力)ありがとうございますｯｯｯ！！！ (2021年3月27日 21時) (レス) id: 2e73fce6ea (このIDを非表示/違反報告)
ライカ(プロフ) - こちらこそ！ありがとうございました！ (2021年3月12日 20時) (レス) id: 6cbc74f1c3 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ライカさん» リクエストありがとうございました〜！ (2021年3月12日 19時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2021年2月3日 0時
