56-3 ページ42
side：フロイド
＊＊＊
すーすー、と小さく寝息が聞こえる。トビウオちゃんはすっかり寝入ってしまっていた。
ホント、警戒心どうなってんの。このままオレが何かしたら、とか考えなかったわけ？
「寝ないんですか？」
「ん〜、寝るけどさ。見てよ、この無防備トビウオ。なんか噛んでやりたくなんね？」
「ああ。そうですね。でも、噛んでしまったら二度と泊まりになど来ませんよ」
分かってるって、そんなこと。
そもそも今回のお泊まりだって、オレらへの警戒心をなくしてもっと仲良くなろうってのが目的じゃん。アズールがトビウオちゃんのことマジで欲しがってたから、こうやって距離縮めるんでしょ？
でもさ、先に目付けたのオレだよ？オレが見つけて、オレが仲良くしてたのにさ。横取りしようとか、すげームカつく。
噛み痕だってつけたのに。オレのって印つけたのにさ〜。
「僕もそちらへ行っても？」
「絶対来んな。来たら絞める」
「おやおや、そんなに怒らないで。冗談ですよ」
嘘つけ。隙あらばトビウオちゃんに構い倒すのやめろよ。オレのって一番最初に言っただろうが。
そうやって他の奴らもトビウオちゃんのこと構ってさ。あのトドもそう。トビウオちゃんからにおいがするときとか、何回殺してやろうと思ったことか。
オレが一番最初に見つけたんだ。かすめ取られて一番じゃなかったけど、見つけたのはオレが最初。だから、オレのものでしょ。他のやつが自分の獲物に近付くとか、許せるわけがない。
ため息をついて髪を梳いてやると、小さく丸まって擦り寄ってきた。尾ビレをぎゅうと縮こまらせてなるべく小さくなろうとするその姿に、庇護欲が刺激される。
オレの腕の中にいる間は絶対守ってあげられるけど。このトビウオ、すぐどっか行くからな。
「迷子用の鈴ってあったっけ？」
「ああ、あの稚魚用のものですか？珊瑚の海にでも行けば、すぐ見つかりますよ」
「買ってこようか。んで、トビウオちゃんにつけてあげんの」
「過保護が過ぎますよ。Aさんは稚魚ではないんですから」
そうかもしれないけどさ。なんかオレが落ち着かないし。知らないとこで壊れると困るんだよね。
オレがもらうって言ってんのに、ちゃんと理解してんのか不安になる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - もち。さん» ありがとうございます！自分の手の中にあるとなお愛おしくなっちゃうんでしょうね……更新頑張りますねー！ (2020年12月29日 1時) (
レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
もち。(プロフ) - フロイドに抱きこまれて一緒に寝ちゃうの可愛いかよ…っ！と思わず顔面を覆いました笑お気に入りだからエンティティ様の加護じゃなくて自分の手で護りたいのかい？フロくん…獲物は逃さないでね…更新楽しみにしてます！しかしながら無理はなさらず！応援してます！ (2020年12月26日 22時) (レス) id: 2eef4b8e10 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - yozakura5011さん» ありがとうございま〜〜〜す！！ (2020年12月24日 14時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
yozakura5011(プロフ) - とても・・・とても好きです・・・（鼻血） (2020年12月21日 0時) (レス) id: 87d7c098c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年12月12日 1時
