Ver.甘い匂い：Part2 ページ39
スパァンッ、と荒々しく扉を開ける。瞬時に集まる視線を無視して、ミッドナイト先生を探した。
｢おい、降魔。ノックくらいしろ｣
｢相澤先生おはようございます！今それどころじゃなくてですね、ミッドナイト先生いますか！｣
尋常じゃないわたしの様子に、目を見開く相澤先生。その声を聞きつけたのか、ミッドナイト先生が奥から顔を出す。
｢どうしたのよ、そんなに慌てて｣
ぴゃーっと泣きそうになりながらも、さっきあったことを話す。爆豪くんと切島くんが変だったこと、甘い匂いがするらしいこと。
全て話し終えて落ち着いた頃、ミッドナイト先生が相澤先生に視線をやった。
｢確かに甘い匂いはしますけど｣
｢私はそんな匂いしないのよね｣
今日どうしたらいいんだろう？爆豪くんと切島くんに会わないように1日を過ごすなんて、そんな難しいことできないよ……。
｢すまん、降魔｣
｢へっ？はい！｣
ビシッと姿勢を正す。相澤先生はわたしの手をとり、少し鼻を近づけた。
｢ああ、やっぱり降魔か｣
｢となると、フェロモンみたいなものかしら？覚えはない？｣
｢そんなのあったら、混乱してません！！｣
今にも泣き出しそうなわたしを見かねたミッドナイト先生が撫でてくれる。撫でられても…そんな…簡単に………。
｢よーしよしよし｣
｢わーい！｣
｢話がズレるから、やめろ｣
手を止めてわたしを見つめるミッドナイト先生を見つめ返す。悩ましげにため息をつくと、こう言った。
｢本人に心当たりがない、対象は男性のみ。対処のしようがないわね。よし、今日は隔離よ！｣
｢授業は！？｣
｢そんなもの休みなさい｣
ウィンク付きで言われる。まあ、わたしに拒否権なんてないから、なんでもいいや。
｢それにしても、相澤くんは耐えられてるのね｣
｢生徒相手ですから｣
｢はは〜ん、青春ね｣
ニタニタと笑いながら、ミッドナイト先生が言う。相澤先生はそれを鬱陶しそうにしていた。
それを見届けて、これからのことを決める。
｢まず、降魔は今日の授業免除な。帰ってもいいが、どうする？｣
｢できれば、トレーニングしようと思ってるんですけど…｣
｢じゃあ、体育館だな｣
基本的に男性に会うのは、教師だけにすること。何かあれば、保健室か、職員室に避難すること。
｢以上。何かあれば、俺かミッドナイトさんにな｣
｢はい！｣
ワクワクしていたせいで、後ろから聞こえた小さな声は聞こえなかった。
｢……危ねえ｣
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作者名：怜
| 作成日時：2018年5月10日 20時
