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side:アズール
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双子がでろでろに溶けているのを見て、元凶を見やれば、元気そうに走り回っている。怪我をしないよう、危ない物は片付けましたが。少々心配ですね。
そう思って眺めていると、僕に気付いたAが破顔した。急激に顔に熱が集まる。震える手でスマホを取り、カメラを起動した。
深呼吸してぶれないように手を押さえる。この写真はどんな絵画より価値があります。幼いAの笑顔は100億マドルです。僕が保証しましょう。
「あずーるっ」
「ん゙ん゙……なんでしょう?」
短い足を懸命に動かして僕の元に辿り着くと、両手を広げるA。抱っこですね、もちろんしますよ。
幼いAを優しく抱き上げると、小さな手が僕の頬を撫でた。もちもちでふわふわの手は慣れない手付きですが、それも愛らしいことに変わりはなくて。
Aを産んだお母様に感謝しなくては。今度ご挨拶に向かいましょう。僕は礼儀正しい男ですから、菓子折だって忘れません。一番高い物にしましょうか。
不意に頬を撫でていた手は止まって、代わりによりもちもちしたものをくっつけられる。すぐ近くにAの顔がきたことで、ようやく状況が飲み込めた。
僕の頬とAの頬がくっついている……。くっついて……。
くふくふと愛らしい笑い声が耳の近くで聞こえて、さらに思考は飛んでいく。
「アズールだけずるいと思いませんか、フロイド」
「すげーずるいよ。ねえ、ジェイド」
双子のジェラシーに燃える声が遠くに聞こえます。僕は今日、今ここで死んでしまうのでしょうか。それも悪くありませんね。はい、本当に。
「あずーる?」
「ハッ……大丈夫ですよ」
くりくりとした目が僕を覗き込んで、ゆらりと揺れる。
僕としたことが、危うくこの先Aと一緒にいることを放棄してしまうところでした。危ないですね。
我慢ならなくなった双子にAを取られる。惜しむように手を伸ばせば、フロイドに弾かれた。
「アズールだけずりーから、しばらく接触禁止!」
「さあ、A、こちらへ。僕と一緒に遊びましょうね」
「Aを返してください!!」
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怜(プロフ) - リザさん» ありがとうございます!!気をつけますね! (2020年7月10日 15時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
リザ - 色々疲れて体調崩さないようにしてください(>_<) (2020年7月10日 12時) (レス) id: 5d727ab8ad (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - Rioさん» 良かったです!!私も書いててちょっと楽しくなってしまいました……リクエストありがとうございました!更新頑張ります! (2020年7月10日 11時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - ンンン!とてつもなく良かったです!!マジで!リクエストに応えてくれて本当にありがとうございます!もう男主、尊い。ゲームに出てきてくれないかな(笑)これからも頑張ってください! (2020年7月10日 7時) (レス) id: a03ea3f041 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - うまるんさん» こちらこそありがとうございました!気に入っていただけて良かったです!テスト勉強お疲れ様です。ご自愛くださいね。更新頑張ります! (2020年7月10日 0時) (レス) id: aa4ac3f208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2020年6月28日 0時