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「もし勝てたなら、そのチームを世界中が称賛するだろうぜ」
勝てたら、ね。
レオナ・キングスカラーが他の寮長を煽る。
「あのお高くとまったスカし野郎の悔しがる顔が世界中に放映される。想像するだけで鼻歌が歌いたくなるじゃねぇか。なァ?」
「ふふ。それは視聴率が取れそうな画ですね」
「ってことで、面貸せ。A・マクミラン」
レオナ・キングスカラーが俺を見た。アズールが目を見開いているのが視界の端に映る。
ニヤリ、と口角を上げた。レオナ・キングスカラーは良い返事がもらえると思ったのか、さらに笑みを深くする。
良い返事なんかするわけないだろ。この俺が、タダ働きなんてしてやると思うのか。
というか、お前とは確執がある。
「断る」
「ハァ?うちの寮生を痛めつけた借りがあるじゃねぇか」
「正当防衛だろ。それに、1年の事件はこっちの善意で不問にしてやったのに、掘り返すのか?」
空気がピリつく。睨み合いが続いて、先に折れたのはレオナ・キングスカラーだ。
大きくため息をつくと、何が望みだ、と言う。
嫌だな。それだと、俺が対価を要求したみたいだ。
違うだろ。俺に出場して欲しいから、お前が対価を差し出したんだ。
「そうだな。特にほしいものはないし」
「寮の改装でいいだろ」
「外観はオンボロですが、内装はホテル並みですよ。そもそも、Aくんさえいれば、改装なんて容易いことでしょう」
学園長が口を挟む。なんでちょっとドヤ顔なんだ。
不意にアズールを見ると、さらに慌てていた。不信に思って、アズールを睨む。すっと視線が逸れた。
「アズールぅ?勝手に何かしたな?」
「僕ではありません!フロイドが勝手に出場選手欄に名前を書いたんです!」
「あー、フロイドか。仕方ないな、フロイドなら」
「………あなた、やっぱりフロイドに甘いですよ」
ま、断る理由ができたし、今回はフロイドに感謝だな。
レオナ・キングスカラーに目をやって、にっこり笑う。
「残念だったな」
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ァ゛ - ''監督生''じゃなくて''魔法の使えない人間''なのがもうそれで…👏👏すごい好きです… (2022年1月4日 14時) (レス) @page25 id: 7c50d108a0 (このIDを非表示/違反報告)
酢 - こんなに面白い作品は初めてです…!ところどころ(?)不良っぽい部分とか好きです!これからも頑張ってください!!あ、どうしてB○のタグが付いているのかが気になって夜しか眠れません(( (2021年5月3日 20時) (レス) id: 4ea2abc19e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁ - 5ページが現金なやつになってますよ!神作ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 3f15dcefd5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - 監督生くんの無自覚なウザさが最高にいいスパイスになってると思ってます、頑張ってくだs…いえ、全力で応援するんで対価として無理しない程度の頑張りを! (2020年9月15日 10時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - tearilさん» コメ返遅れてすみません!かなり読み込まれていらっしゃるようでお恥ずかしい……ありがとうございます!頑張りますねー! (2020年6月7日 16時) (レス) id: f9826c0595 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2020年6月4日 15時