魔力よりタバコをくれ 二本目【ツイステ】

八つ当たりと信頼 ページ26

宣言通り、ジェイドが寮まで送ってくれる。早速タバコを吸っている俺を呆れたように、でもどことなく嬉しそうにジェイドが見つめてきた。

それ、ちょっと恥ずかしくなるから、やめてほしいんだよな。
なんというか、見守られてるって感じで。そんな歳でもないのにって思ってしまう。


「そういえば、1つ気になっていたことがありまして」

「なんだ？」

「Aが気まずくなるほどの相手は、一体どんなことをしたのかと」


相手にしか非がないとでもいうような言い方をするジェイド。随分と信頼されてるな、と笑った。
でも、俺にも非がある。というか、今思い返しても俺だけが悪かったような気がする。

そう言えば、目を瞬かせたジェイド。手袋を外して、俺の額に手を当てると、考え込む。


「熱はないんですけど、頭をぶつけましたか？」

「いや、事実なんだけど」

「まさか。僕が見てきた限りでは、貴方が悪かったことなんてありません」


誰かのユニーク魔法？と呟いたジェイド。これはもう話を聞く気がないな。まあ、聞いてなくても良いか。
そう思って、ポツリと呟く。

八つ当たりをしてしまったのだ、と。
上級生二人を相手していると、だんだんと楽しくなってきて、興が乗ってきたところを止められて、苛立った。ジェイドたちなら、俺のことを止めないのにって思ったら、ムカついた。


「余裕がなかったんだ」

「………なるほど。そうだったんですか」


話したら少しすっきりした。
ちょうど、寮にもついたし。


「ジェイド、ありがとな」

「いえいえ。疲れたときはいつでも僕たちのところに来てください。そうでなくても、歓迎しますよ」

「本当にありがとう」


玄関前でジェイドを見送る。
久しぶりに静かなオンボロ寮へと帰った。

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