娯楽 ページ13
「疾くパスを切れ、雑種。あの様子では、貴様の身を滅ぼしても可笑しくは無いぞ」
遠坂さんが降りてから、座り直した英雄王は私に、バーサーカーとのパスを切れと言った。
「…今すぐ……」
動き回るバーサーカーに向けて左手を翳し、全身の令呪が光を放つ。そして、何も無くパスを切った。
「英雄王、どうなさるおつもりで」
「…少しばかり遊んでやるさ。華苑、精々振り落とされぬよう、この玉座に掴まっていると良い」
掴まるどころか天の鎖で固定しているのは、英雄王の気紛れか、それとも分かりにくい気遣いか。
「英雄王…」
「何だ、華苑」
「いえ…その、英雄王って…生前は割と女性キラーでした?」
こんな状況ながらポカンと口を開けた英雄王は、目を丸くしたのも束の間で笑い出した。
「ふはははっ!貴様っ、何を言い出すかと思えば…我の腹筋を殺すつもりか!」
「えっ、いや…そんなに笑いますか」
「良い、良いぞ。そうさな、確かに生前の我は女を食い物にしたやも知れんな。だが、どこの世も男は変わらぬだろう?」
あー、ハイハイ。聞いた私が馬鹿でした。ふと、彼はバーサーカーとの空中戦を始めた。何処までも空の中を駆け回り、正直言って振り落とされないか気が気で無かった。
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「これ、いつまでやりますか…」
散々追いかけっこして、あの狂犬バーサーカーって諦め悪いとかのレベルじゃない。
「そろそろ飽きた所だ。魔力を回せ、華苑」
「了解です。お好きにお使い下さい」
「いっそ頭から汚物に突っ込んでみるか?雑種」
放った宝剣に逃げ道を制限され、バーサーカーは下に落ちる。しかし、キャスターは消えた。例の宝具だろうか、王の軍勢。
「…何のつもりでしょうか」
「さてな。興醒めだ。して華苑、体は平気か?」
「心配される程の疲労は感じていません。御身は気になさらず、どうか私の事は…単なる道具と思って下さい」
眉を顰められたけど、私は、このような生き方しか知らないのだから仕方ない。
「…王よ、もしかしたら…セイバーの宝具が拝めるかも知れません」
アレを、と指差す先を目で追った英雄王は、口元の口角が上がった。
「ふん。成程な。華苑、お前は降りておれ。なに、我もすぐに向かう。そうさな、特等席を選ぶ栄誉を与えてやろう」
「…分かりました。では、後程」
さすがに人の身では死ぬので、霊体化して英雄王の船擬きから降りて、見晴らしの良さ気な鉄橋に席を取った。
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まつよ - 面白かったです。是非、ステイナイトの時の主人公を見てみたいです。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 4baad1a05f (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月10日 15時) (レス) id: 483535372f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華苑 | 作成日時:2019年5月10日 11時