籠の中の少女 ページ25
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まだAが目を覚ます前、ノーマンはすがる思いで落ちていく点滴を見つめていた。
｢ボス、そんなに心配するほどじゃない｣
｢あぁ｣
返ってきた空返事にヴィンセントは眉をしかめた。
｢そんなに大切か？｣
｢あぁ｣
｢失敗したら計画が台無しになっていたかもしれないのに？｣
馬鹿な質問だとヴィンセントも分かっていたが聞いた。
否、聞く必要があった。
シスロとバーバラが言うように、Aはやはり敵側だと認識していたからだ。
｢Aはハウスに居た時から、この世界の仕組みを知っていた。幼い子供に生死の選択を選ばせたら、誰だって死にたくはないだろ？Aだってこの世界の犠牲者だ｣
｢他には？｣
｢僕がAを愛しているから｣
ノーマンの力強い答えに、ヴィンセントは天井を仰ぐ。
ボス尊い、なんて悟られないように熱くなった目頭を押さえた。
一方で、Aのことを少し哀れだとも思った。
自分は、ハウスでは鬼の存在も、ましてや自分が食幼児だとも知ることはなかった。
それをAは、知りながら生活していたのか。
ママの手先となり、シスターになり、Λで研究の助手をし･･･。
たらい回しのような人生に、それはそれで同情してしまう。
｢ボスが決めたなら、私はそれに従うよ｣
｢ありがとう｣
Aは捕まったのだ。
ピーター・ラートリーから、そして今度はボスに。
そうか、過程は違えど、この少女もまた囚われの中にいるのだ。
ボスの寵愛という鳥籠に。
ヴィンセントは瞼を伏せて息を吐き出すと、医務室を去った。
｢A｣
静かな部屋の中に、ノーマンとAしかいない。
返事のない呼びかけを何度したことだろう。
早く目を覚まして欲しいと、握った手を持ち上げて、その掌に口付けた。
20190614
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おん - もうやめましたか…？ (2020年8月10日 14時) (
レス) id: 79df10e130 (このIDを非表示/違反報告)
レンリ - 戻って来て下さい！ (2020年8月9日 9時) (レス) id: cff600fdbd (このIDを非表示/違反報告)
奈津子(プロフ) - 更新お願いします！ (2020年5月10日 0時) (レス) id: 55bc886d22 (このIDを非表示/違反報告)
沙綾 - 新刊発売されてま〜す。続き楽しみにしてます。 (2019年12月14日 23時) (携帯から) (レス) id: cbd580bb22 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまコ(プロフ) - もちもち桜餅さん» お返事遅くなってすみません(><)ちょうど再会編に手を出していたので、書き終わってからお返事しようと思っていました！無事に円満な再会を書けたので安心して読んでください(><) (2019年6月21日 1時) (レス) id: 579bce1089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらたまコ | 作成日時：2019年5月24日 1時
