変わることのない気持ちに ページ22
.
勢いを増す炎を逃れ、隠し通路から外へ出ると追っ手の職員達に捕まらないよう、明け方まで身を隠しながら走った。
滝の裏に浅い洞窟があるのを見つけ、しばらくそこに身を隠すことにした時には、朝日が登り始める頃だった。
｢少し眠ろう。はは、なんて顔してるの？｣
水しぶきのかかったAの顔を袖で拭いてあげて、ノーマンは笑う。
｢ノーマン･･･｣
｢ねぇ、何も気に病むことはないんだよ｣
3メートル程しか深さのないそこは、滝音のおかげで2人の声しか聞こえなかった。
ノーマンを真っ直ぐに見つめたまま、ボロボロと涙を零すAの身体をそっと抱き締める。
｢ごめんね、本当にごめんなさいっ｣
｢いいじゃない。こうやってまた会えたんだから｣
あの日、再会した時に本当はこうしたかったんだとノーマンは抱き締めている手を動かし、Aの髪を撫で、震えている唇をそっと指でなぞってから口付けた。
｢Aが生きててくれて、本当に嬉しい｣
ノーマンの微笑みに、Aはしばらく声をあげて泣いた。
｢Aがどうやってハウスの秘密を知って、今まで何をしてたか教えてくれる？｣
涙が落ち着いた頃ノーマンに問われて、Aはぽつりぽつりと話し始めた。
ハウスの秘密を知った夜、イザベラとの約束。
養成学校でのことと、ピーターに引き取られてからのことを。
その後で、ノーマンはAがハウスを去ってからの脱獄計画のことと、Λでの日々のことを話した。
｢エマとレイは･･･、皆は大丈夫かな｣
｢大丈夫。僕は信じてる｣
｢ノーマンは今からどうするの？｣
｢全ての農園を破壊して、全食幼児を助けたい。この世界を終わらせる｣
終わらせる、と言い切ったノーマンの瞳の奥が光る。
｢Aの手を二度と離したりしない。ずっと一緒にいてくれる？｣
Aの手を取り、その甲に唇を寄せた。
ゆっくりと深く頷いてノーマンに応える。
｢私の命はノーマンにあげる。ずっと傍にいる。何があってもノーマンの味方でいる｣
その答えに満足したようにノーマンは頷いてから、ひとつだけ聞き返した。
｢僕とピーターどっちが好きなの？｣
｢ノーマン｣
｢嘘じゃない？｣
｢私ずっとノーマンを愛してるの｣
やっと見れたAの明るい微笑みに、ノーマンはもう一度口付けて返事をした。
20190613
地味にピーターへ嫉妬していたノーマン。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「約束のネバーランド」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おん - もうやめましたか…？ (2020年8月10日 14時) (
レス) id: 79df10e130 (このIDを非表示/違反報告)
レンリ - 戻って来て下さい！ (2020年8月9日 9時) (レス) id: cff600fdbd (このIDを非表示/違反報告)
奈津子(プロフ) - 更新お願いします！ (2020年5月10日 0時) (レス) id: 55bc886d22 (このIDを非表示/違反報告)
沙綾 - 新刊発売されてま〜す。続き楽しみにしてます。 (2019年12月14日 23時) (携帯から) (レス) id: cbd580bb22 (このIDを非表示/違反報告)
しらたまコ(プロフ) - もちもち桜餅さん» お返事遅くなってすみません(><)ちょうど再会編に手を出していたので、書き終わってからお返事しようと思っていました！無事に円満な再会を書けたので安心して読んでください(><) (2019年6月21日 1時) (レス) id: 579bce1089 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたまコ | 作成日時：2019年5月24日 1時
