生まれてきてくれてありがとう【ワンパンマン】

お迎え ページ5

「Aちゃーん、今日遊ばなーい？」

「バカ。勉強しなよ」

「たまには息抜きも必要だよ〜」


帰り支度をしていると、比較的仲良くさせてもらっている二人が、わざわざ隣のクラスの私に声を掛けてくれた。一人は髪を明るい色に染め、一人は運動神経抜群の短髪女子。この二人はいつも一緒に行動している。一年生のときに話し掛けてくれたのがきっかけで、すっかり仲良しこよしになってしまった。嬉しい。

非常に申し訳ないが、今日は本屋で参考書を買うつもりでいる。断っておこう。というか、平凡な頭をした私に遊んでる暇なんてあるか。


「ごめん！また来年ね」

「来年！うはは！わかった！また来年な」

「お互いがんばろーな」

「うん。誘ってくれてありがとう。じゃーね！」


バイバイ、と手を振って二人は教室を去った。


学校を出て暫く歩くと、そこそこ大きい本屋が建っている。ジャンルも豊富で、老若男女問わず利用する場所だ。


しかし、わたしの求めているような参考書が中々見つからず、気づけば外も真っ暗で、本屋にいるお客さんもかなり減っていた。時間を確認すると、なんと8時！これはやばいね。


「んー……あ、これいいかも」


ようやくお目当ての物が買えた私は速い足取りで家路を辿っていた。


現在通っている高校は家からは結構時間が掛かるので、親に無理を言って一人暮らしをさせてもらっている。狭いアパートだが、風呂もトイレも付いているし、安めなので良い物件が見つかったと思っている。

しかし、安いのにも理由があって、ここはZ市程ではないが、怪人が出現しやすい地域なのだ。だからあまり遅い時間には出歩かないようにしているのだが(親ともそう約束している)、やってしまった。


これじゃあ怪人に襲われても文句言えないぞ。


「ちょっとお前こっち来いや」

「えっ……！」


ほらね、こういうことになるんだ。言わんこっちゃない。


突然、誰かに手を引っ張られて路地裏に連れ込まれた。

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