ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

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え、何？


そう思うと蘭はその笑みを崩さずに「コレ、俺の、なんだけど？」と私をちらりと見てわざと言い聞かせるようにゆっくりと話した。





「蘭、」



「お前、またかぁ？
まあ確かにコイツ面は良いけど中身はガキだから辞めたほうが良いと思うけどな〜」



「死にたくなかったら灰谷の幼馴染に手出すな。分かってんだろ？」




ふん、と小馬鹿にしたような笑みを浮かべた蘭にこいつ……と怒りが沸々と湧き上がってくるけれど、多分一応助けてくれたと思うので文句は言わない。


蘭に続いて竜胆も凄むと、その男の子は逃げるように立ち去っていき上の階の子たちも蘭が見上げた瞬間に蜘蛛の子を散らすようにベランダから教室へ戻って行った。





後ろから抱きかかえるように私の肩を掴んだ蘭の手をパシパシと叩く。



傍から見たら抱きしめられているように見えるかもしれないけれど、実際は昨日と違って思い切り私の肩に力が加えられているからめちゃくちゃ痛いし重い。

この三つ編みの悪魔はか弱い女の子の肩を粉砕骨折させるつもりなんだろうか。





「A、お前何回目？勝手に呼び出されてんじゃねえよ。
虫追い払ってる俺らの身にもなれ」



「そんなの知らないよ、頼んでないし！……でも、今回のはちょっと助かったかも」




ただでさえも釣りがちな眉を更に釣り上げた竜胆にそう答えながら肩に回ったままの蘭の腕をどかす。




そのまま小さくありがとう、と言うと私の頭一つ分高い位置からケラケラと笑う声が聞こえて慣れないことをした自分に恥ずかしくなりながら蘭たちを置いて教室へと戻って行った。

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