ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

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こうして幼馴染だったはずの蘭と私の関係はこの時をもって違うものへと形を変えた。



これまでのぎくしゃく具合が嘘のようにぴったりと横にくっついた蘭に、いつから私のことが好きだったのかと尋ねてみる。




そして、どうしてあの日私にピアスを預けたのか。




蘭は私の髪を一房掬ってキスをする。





伏し目がちになりながら私の顔を見て「いつからだと思う？」と意地悪そうに笑った。




それが何だかとても懐かしくて。でも同時にすごく焦れったくて、つい答えを急かしてしまった。








「なに？教えてよ」



「……お前にピアス預けた時から好きだったよ。忘れろって言ったのも全部嘘」






じゃあ、と思わず声が震えてしまう。




それなら蘭と竜胆があの店から私を連れ出してくれたのにも他の理由があるの？


そう言った私に、蘭は満足そうに笑みを深めた。







「あのさ、いくら幼馴染とはいえ俺は価値がねえと思ったモンに一億も出したりしないワケ。
この意味分かる？」



「え……、」



「一億でこんなイイ女が買えるんだったら安いもんだろ？
オレはずっと前からお前しか見てねえよ」









そう言って蘭はおっとりと垂れた眦を細めてこれ以上無いほどに愛おしそうな表情で私を見つめる。




最上級ともいえる口説き文句を直にぶつけられて、私は赤くなった顔を隠すように俯くことしかできなかった。






fin.

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