ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

7 ページ8

「でもアンタさ、いつもあんだけ綺麗な顔見てたら彼氏作る気なくなっちゃうんじゃないの」



「……まあ顔は整ってるよね」



「でしょ〜？あ、ねぇ今日ヒマ？
駅前にクレープ屋出来たって聞いたから行こ！」






彼女からの尋問は何と放課後まで続いた。



根掘り葉掘り聞かれて若干げっそりし始めた私を置いて今度はクレープ屋の話をペラペラと話し出す彼女がガタリと音を立てて席を立つと、同時に誰もいなくなりかけの教室の扉が開かれた。



顔をそっちに向けた彼女は、扉を開いたそのひとを見るなり「あっ」と声を出す。


私も続いてそっちの方を見ると見なかったほうが良いかもしれないと目を逸らした。







そこに居たのは予想通り金と黒の三つ編みと金と水色の髪の丸メガネ。そう、またしても灰谷兄弟だ。


朝起きても灰谷、昼でも灰谷、夜でも(たまに)灰谷。一年中、下手したら親よりも多く顔を合わせている幼馴染の顔を見てげんなりと肩を落とした。




「お、奈々チャンじゃん。ごめんな、コイツ貸してくれる？」



「良いよ！A、クレープは今度ね。じゃ！」




蘭に声を掛けられるやいなやそそくさと帰る準備をして教室を去って行った彼女に、ああ無情と心の中で涙を流す。こうして友人に売られるのもお決まりの流れだった。






それからも私は常に灰谷兄弟と一緒で、結局高校三年間で私に彼氏ができることはなかった。



蘭たちもイザナさんというひとが作った『天竺』というチームに入ったこと以外ほとんど今までと変わりのない日々を過ごしていたと思うけれど、ある日突然それは終わりを告げた。







・
友達の名前を「奈々ちゃん」にしていますが、万が一主人公の名前(自分の名前変換)と被っている方がいたら教えてください……。

変更します。

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す