ずっと前からオマエしか見てねえよ【灰谷蘭】

. ページ31

俺らが院にいたのは約二年間。


本当は十六になる歳の秋に釈放される予定だった俺たちだけど、一応血の繋がっただけの親が金で期間を短くしたようだった。


そういう訳で俺らは訳二年ぶりにAと再会し、同じ高校に通うようになっていた。



二年ぶりに会ったAは中学の頃の記憶と違ってだいぶ大人びていて驚いた。

ここだけの話だけど、兄貴、再会したその日にアイツに見惚れて固まってたの知ってんだからな。







更に美人になっていたAはその分余計な虫もくっ付けて来てしまうみたいで、しょっちゅうお呼び出し(コクハク)というものをされていた。



その話をAから聞くたびに兄貴の纏う雰囲気がどんどん冷たくなっていって、当時何回冷や汗をかいたか分からない。



最初は笑みを浮かべて余裕ぶっていた兄貴も、高校に入ってAが告られた回数が二桁を超え出したあたりから焦り始めて男が寄らないように牽制をし始めた。



対してAの方は彼氏が欲しいようで、声を掛けられるたびに嬉しそうな顔はしていた。

それでもアイツに今まで彼氏が出来なかったのは兄貴がその男を物理的に消していたのが大きいだろう。





これはAにも言ったことねえけど、声掛けてきた野郎を真顔で殴り飛ばしてた兄貴、メチャクチャ怖かったんだぜ。


そんで「もう近付きませんから許してください！」って泣き喚く奴に

「当然だろ♡」って満面の笑みで警棒入れてたわ。



……そういうとこあんだよな、兄貴。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す