ほろ苦いオランジェット10 ページ37
「最初から最後までこんな暗い雰囲気ごめんだぜ。なあ朔夜?」
「そうですね、折角光忠たちに料理も用意してもらってますし。
このまま暗い雰囲気で食事会はごめんです」
鶴丸の言葉に頷いた朔夜くんは厨の方に目線を送る。
そういえば緊張して何も感じていなかったけれど、美味しそうなご飯の匂いがする。
そう考えると急激におなかが空いてきてしまって、光忠や歌仙に「ご飯ください」と雰囲気ぶち壊しの熱視線を送ってしまう。
私からの視線をすぐさま感じ取った彼らは、困ったように一瞬視線を交わし合い「仕方ない」とおもむろに立ち上がった。
「一期くん、Aちゃん空腹に耐えられないみたいだから。ごめん」
「全くだね。ちっとも変わっていないよ」
呆れたように私に視線を送り返す彼らに、それってなんだか私が食い意地が張っているみたいじゃない!と恥ずかしさが募る。
わざわざ私の名前出さなくて良いじゃないの!と憤慨していると、どこからかグウウゥ、という大きなおなかの音が鳴り響いた。
少ししておずおずと挙手をした兼定は「すまん」と片手で顔を覆い、恥ずかしそうに地に伏した。
「昨日歌仙の饅頭盗み食いしたのがバレて朝飯抜きだったから何も食ってねえんだ」
「君が一箱丸ごと食べたせいだろう!」
そう言って歌仙が兼定を叱り始める。
なんだか懐かしい。前もこうして兼定はよく歌仙に怒られていた。
前は私とグルだったことが大半だったけど、私がいなくなって少しは成長したのかな、とか思っていたけれど私と同じく何も変わっていないなんて。
くすくすと笑いながら、私がおなかを鳴らさずに済んだ、ラッキー!なんてのんきに考えながら微笑む。
「ごめん、光忠と歌仙のご飯食べたいです」
そういうと彼らはやれやれといった様子で肩をすくめた。
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もちごめ(プロフ) - ミケプリンさん» ミケプリンさまいつも本当にありがとうございます!鶴丸推しになっていただけて嬉しい限りです😊続編も近々公開予定ですので、そちらでも是非是非よろしくお願いします! (2022年10月16日 23時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
ミケプリン(プロフ) - 続編楽しみにしてます!これからも応援してます!今となっては鶴丸推しになってしまったので更新されるのが楽しみになってます!もちごめ様のペースで頑張ってください✨ (2022年10月16日 20時) (レス) @page44 id: 2326f32420 (このIDを非表示/違反報告)
もちごめ(プロフ) - ミケプリンさん» こちらこそ楽しみにしていていただけていたなんて嬉しい限りです!いつも応援ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします✨ (2022年10月3日 19時) (レス) @page7 id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
もちごめ(プロフ) - 柘榴さん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします〜!!もちごめも鶴丸推しなので柘榴さまや他の鶴丸推しの方々にキュンキュンしてもらえるように校正に力を入れていきます!笑 (2022年10月3日 19時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
ミケプリン(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてました! (2022年10月3日 18時) (レス) @page7 id: 2326f32420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちごめ | 作成日時:2022年10月3日 14時