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You.s
雨は当分止みそうもなく、帰るタイミングを探しあぐねていると
ポケットの中の携帯が震えた
見るとそこには、"やまと"と書かれた文字
『何で、このタイミングなの…』
忙しいやまとから電話がかかってくることなんて
あまりないから、何か大事な用事かもしれないし
さすがに出ないわけにもいかず
『はい。』
仕方なく通話ボタンを押した
「もしもし。A、今平気?
…ん?え、もしかして外いる?」
雨音が電話の向こうに聞こえたのか
やまとは少し驚いたように声を上げた
『電車降りた後で雨降って来ちゃって。
屋根のある所いるから大丈夫だよ。
やまとこそ、なんか周り騒がしくない?』
私も向こうの音が聞こえて
遠くの方で複数人の盛り上がってるような声がする
「さっきまでコラボ撮影してて。
予定より早く終わって時間ができたからさ。」
『…そっか。撮影楽しかった?』
「楽しかったよ。
カメラ途中で切れてるのに気付いてバタバタだったけど。(笑)」
『それはだいぶ焦るね。(笑)』
「ねえ、そっち迎えに行っていい?」
『家からあと10分くらいの所いるから、大丈夫。』
「そうじゃなくて、その…ただ俺が行きたいだけ。」
雨でグシャグシャだし、気分も最底辺まで落ち込んでて
本当は正直誰にも会いたくない気分だったけど
そんな言い方をされては、断るに断れなかった
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作者名:沙耶 | 作成日時:2023年1月16日 22時