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「A、散歩に行くネ!」


『散歩?』



吉原に新オープンした茶屋【ひのや】にお世話になって数日。




日輪さんや月詠さん、晴太くんにもすごく良くしてもらっている。


神楽ちゃんはよく遊びに来ては私を誘ってくれた。

神威は毎日来てくれたけど、

外には連れてってくれなかったな。



「たまには外に行くのも気分転換アル!」


『行こうかな。』


「おお!初めてOKしてくれたアル!準備するヨロシ!」


『うん、ありがとう。』



ここに来る前のことは全然覚えていない。

神威の事と、自分の名前は覚えてるけれど…



『神楽ちゃん、お待たせ。』


「出発アル!」



外の街を歩くのは初めてだ。


太陽が輝く下を散歩するのは気分がいい。

みんな笑っていて、活気がある。


私は今までこの世界を知らなかったのだろうか。



「A、甘いものは好きアルか?」


『うん、大好きだよ。』


「あそこの団子屋は、銀ちゃんのおすすめネ!寄ってみるアル!」


『…あ。』


「なんだぁ、おめぇらも団子食いに来たのか。」



噂をすれば何とやら。

坂田さんが団子を頬張っていた。


「銀ちゃん、来てたアルか。」


『こんにちは。』


「はい、こんにちは。体はもう良いのか?」


『お陰様で平気です。』


「ああ!銀さん!それ僕の分ですよ!」


「なんだぁ、新八もいたアルか。」


「僕がいちゃ悪いかぁ!嫌そうに言わないでよ…っ」


『ふふっ』


「やっと笑ったアル」


『え?』


「ずっと悲しそうな顔してたネ。Aが笑ってくれて私嬉しいアル!」


「そうですね。やっぱり笑った顔の方が可愛いですよ。」



私…そんな顔してたんだ。



「まあ、無理に笑って欲しいわけじゃねぇ。楽しい時は笑ってみたらこいつらも喜ぶだろうよ。」


「ほら、Aさんと神楽ちゃんのお団子来ましたよ〜」


「うまっ!!Aうまいアル?」


『うん、美味しい!』


こんなに美味しいお団子生まれて初めて食べたかもしれない。

記憶がないからよくわからないんだけど…

みんなで食べると楽しい。



「新八君、今きゅんっとしたでしょ。」


「なっ、銀さん!やめて下さいよ!言うことないじゃないですか!」


「あらあら図星ですかぁ。若いねぇ全く。」


眩しい太陽の元、口中にみたらしを付けて笑う神楽ちゃんを見て、私は目を細めていた。

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作者名: | 作成日時:2019年3月23日 20時

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