第184話 制裁 ページ48
「悪いネズミみ〜っけ」
薄暗い路地裏に怪しく響く劉の声。
その先は袋小路で追い詰められた男に逃げ道はない。
しかし、そんな状況にも関わらず男は笑った。
「っは!お前は俺の事追い詰めたつもりなのかもしれねぇが、本当に追い詰められてんのは、お前の方だ!」
男の声を合図に劉の背後から数人の男たちが姿を現した。
彼らの手には武器が握られており、今にも襲い掛かりそうな雰囲気である。
しかし、そんな男たちを見ても劉は表情を変えるどころか、どこか面白そうに笑った。
「何笑ってやがるッ……!」
「いや〜ごめんごめん、面白くてつい」
「!、おい袖口から手出せ!……知ってんだ、鍼はお前の十八番だろ?」
「嫌だな〜、そんなに警戒しなくても“我は”殺 さないよ」
「はぁ!?」
「どうしてネズミが猫に簡単に捕まってしまうのか、分かるかい?」
劉はそう呟くと男の頭上を指さしてこう言う。
「常に見下ろされているからだよ」
「っ!?」
その瞬間、男の鼓膜に銃声が響いた……そう認識した時すでに激しい痛みに襲われていた。正確に言うと銃弾は男の左耳を掠っており、大量に血を流しながら男は前のめりに倒れる。
劉の指さす方向、その建物の上には一人の少女の姿。
あんな子供が発砲したのかと劉の後ろにいた男たちが狼狽えたその一瞬、少女はその男たち目掛けて発砲していた。
その姿を見て笑みを深め劉が後ろを振り返った時にはすでに、男たちは血を流して倒れていた。
辛うじて息をしているのは追い詰められていた男ただ一人。
「名前〜ご苦労様、降りておいで」
「ら、劉さん……!」
「ん?」
「た、高くて降りられません……!」
「え、どうやって登ったのさ」
苦笑しながら建物へと向かう劉。
それを呼び止める男。
「ころ、せ……っ」
「言ったじゃないか、我は殺さない。あくまで管理を任されてるだけなんだよ。でも“次がある”と思わせないように制裁はしないとね」
そう言い残して劉と名前は闇に消えていく。
1227人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
古畑のねこ(プロフ) - oemi200174さん» こちらこそ最後までお読み下さり、本当にありがとうございました……!現在「溺愛、死」のその後のお話を執筆しておりますので、良ければ是非読んで頂けると嬉しいです……! (2022年4月18日 15時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
oemi200174(プロフ) - 最後までありがとうございました!素敵な作品に出会えてよかったです!これからも応援してます!!!! (2022年3月20日 0時) (レス) @page50 id: bdeac365d5 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - しののしさん» ありがとうございます……そう言って頂けてすごく嬉しいです。これからも頑張ります! (2022年1月8日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
しののし - 最高です。更新楽しみに待ってます。 (2022年1月1日 12時) (レス) @page26 id: 969dc0e871 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - アリアさん» ありがとうございます!素敵な最終回になるよう、頑張ります! (2021年12月12日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:古畑のねこ | 作成日時:2021年9月25日 4時