第163話 口角 ページ27
シエルのお屋敷を出た後、手渡された手書きの地図を頼りに私は紹介された葬儀屋へと向かっていた。
道中、思い出すのはセバスチャンさんの言葉。
おひとりで、片付けたいのでしょう？
劉様の耳に一度も入ることなく、この件を無かったことに……違いますか？
このやり方が正しいとは思わない。
きっと私が嘘をついていると知ったら劉さんはまた悲しい顔をすると思う。
でも、気づかれずに私ひとりでどうにかできたら劉さんはきっと笑ってくれる。
それに、もしもこれが上手くいけば……
そこでふと顔を上げると右手に目的地である葬儀屋が見えた。古びた扉の前で呼吸を整えてからゆっくりと開ける。
鈍い音を立てて開かれた扉の先は真っ暗で、人影が全くない。
｢あ、あのー、すみません……アンダーテイカー、さん……？｣
カウンターに向かって声をかけても返事はない。
小首をかしげたその時、突然背後にゾクリとした寒気が走った。
｢おやおや、これは随分可愛いお客様だねぇ｣
｢！！｣
振り返り、同時に距離をとる。
そこには銀色の長髪に、真っ黒な服を着た男が一人。
目元は前髪で見えないが、口角は楽しそうに歪んでいる。
｢あなたが
｢そうさ。君とは“はじめまして”だね、可愛いお嬢さん｣
｢……名前です｣
私が名乗ると合点がいったように目の前の男は手を叩いた。
｢あぁ、君からくり屋敷の子か。伯爵から聞いたよ、随分無茶したみたいだね〜｣
くつくつと喉を鳴らしながら笑うと、彼はゆっくりとカウンターの中へと戻っていく。
｢私のことを知ってるんですか？｣
｢うん、色々聞いてるよ。中国人は野蛮な連中が多いからね。お嬢さんもそうならないか小生は心配してたんだ｣
｢……それって、劉さんのことを言ってるんですか？｣
自分でも分かるくらいに声色が低くなる。
アンダーテイカーさんは一瞬きょとんとするが、すぐに表情を崩して笑った。
｢気分を害したなら謝るよ〜｣
｢いいです。それより、本題に入ってもいいですか？｣
劉さんのことで反応していたら先に進めない。
グッと堪えて、私は服の袖から脅迫状を取り出した。
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古畑のねこ(プロフ) - oemi200174さん» こちらこそ最後までお読み下さり、本当にありがとうございました……！現在｢溺愛、死｣のその後のお話を執筆しておりますので、良ければ是非読んで頂けると嬉しいです……！ (2022年4月18日 15時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
oemi200174(プロフ) - 最後までありがとうございました！素敵な作品に出会えてよかったです！これからも応援してます！！！！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page50 id: bdeac365d5 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - しののしさん» ありがとうございます……そう言って頂けてすごく嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年1月8日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
しののし - 最高です。更新楽しみに待ってます。 (2022年1月1日 12時) (レス) @page26 id: 969dc0e871 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - アリアさん» ありがとうございます！素敵な最終回になるよう、頑張ります！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2021年9月25日 4時
