第140話 優先 ページ2
「おいお前ら！イチャつくなら外で、」
「シ〜エ〜ル〜！」
「ぐぅえッ……！」
「あはは、伯爵も隅に置けないねぇ。我たちのこと言えないじゃないか」
げんなりとしたシエルがやんわりとリジーの腕を解く。そんなシエルにはお構いなしに口を開いた。
「シエル！今日こそ私とお買い物に行きましょう！あ、そうだ！名前と劉も一緒にどうかしら！」
「え、我たちも？」
「まだ名前とちゃんと遊んだことないんだもの。シエルもいいわよね？」
「い、いや僕は……」
「坊ちゃん。今日こそはエリザベス様を優先しないとまた彼女のご機嫌が損なわれますよ」
「うﾞぅ」
がっくりと肩を落とすシエルの腕にリジーは幸せそうに自分の腕を絡ませた。
そんな彼女の姿に私も頬が緩んだのが分かる。
とても楽しそうなお誘いだけど、今日は行けない。
「リジーごめんね。今日は劉さんの大事なお仕事があるから一緒には行けないの」
「えー……じゃあ劉！名前を借りてもいいかしら？夕暮れ時には必ず送り届けるわ」
ぽんと新しい提案をするリジー。
この男によくそんな提案できるな……怖いもの知らずか……という顔をするシエル。
私はリジーに申し訳ない表情をしたまま、誰にも気づかれないように劉さんの手をそっと握った。
劉さんは一瞬だけ瞳を覗かせて私を見下ろしてから、リジーに顔を向けた。
「ごめんねエリザベス嬢……今日はその仕事場に名前も連れていく予定なんだ。得意先にももう話してしまっていてね」
「えー……名前もお仕事優先しちゃうのね……」
「リジー。こいつらと僕の仕事は全く違う。今日は僕が付き合うから、あまりこいつらを困らせるな」
「……はい」
「リジー。私は別にお仕事を優先してるわけじゃないよ」
私の言葉にリジーは顔を上げる。
「私にとっていつだって一番大切なのは劉さんだから」
私の言葉にリジーの瞳が少しだけ大きくなったのに気づいて誤解されたかな、と思いすぐに弁解する。
「あ、リジーのことが大切じゃないってわけじゃないよ！？ただ劉さんとの約束は優先させたいの……ダメかな？」
「 名前……なんか変わったわね」
「……それって悪い意味で？」
恐る恐るそう聞くとリジーはにっこり笑って私の手を握った。
「もちろんいい意味でよ！私もお稽古なんかより、シエルとの時間を優先させたいもの」
「ふふっ、そうだね」
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古畑のねこ(プロフ) - oemi200174さん» こちらこそ最後までお読み下さり、本当にありがとうございました……！現在｢溺愛、死｣のその後のお話を執筆しておりますので、良ければ是非読んで頂けると嬉しいです……！ (2022年4月18日 15時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
oemi200174(プロフ) - 最後までありがとうございました！素敵な作品に出会えてよかったです！これからも応援してます！！！！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page50 id: bdeac365d5 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - しののしさん» ありがとうございます……そう言って頂けてすごく嬉しいです。これからも頑張ります！ (2022年1月8日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
しののし - 最高です。更新楽しみに待ってます。 (2022年1月1日 12時) (レス) @page26 id: 969dc0e871 (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - アリアさん» ありがとうございます！素敵な最終回になるよう、頑張ります！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2021年9月25日 4時
