第55話 感情 ページ10
セバスチャンside
このこと、劉さんには内緒ですよ____________
幼い子供のように笑う名前様を見て、胸が高鳴った。
けれどそれと同時に、劉様のために頑張る名前様を見て胸が苦しくなったのも事実。
協力させてほしいと言ったのは、今の彼女を悲しませないため。
ここまで彼女に慕われているあの方が、私は……____________
｢クリスマス……！すっかり忘れてました！英国にも雪は降るんですか？｣
名前様のその言葉で現実へと引き戻される。
｢……えぇ、もちろんです｣
これから降るであろう雪を想像してか、名前様は窓に手を置いて外を眺める。
｢頑張らなくちゃ｣
私は名前様の小さな呟きが聞こえないふりをして、彼女の手を取った。
｢さぁ、一旦休憩にしましょうか｣
｢はい！｣
今は
私だけのモノ。
________________________
____________
｢もしもし、劉さん？｣
｢はーい、劉さんだよ〜｣
電話口から聞こえる大好きな人の陽気な声。
初日のお仕事を終えた私はシエルにお願いして、お屋敷の電話を借りた。
まだ1日しか離れていなかったのに、ずいぶん長い間声を聞いていなかったように感じる。
｢伯爵や執事くんにいじめられてないかい？｣
｢ふふっ、大丈夫です。みんないい人ばかりですから……ただ｣
｢ただ？｣
私は受話器を握りしめる。
｢……劉さんに会いたい、です……｣
ここへ来て、劉さんと離れて過ごす中で気づいた“寂しい”という感情。
セバスチャンさんに話した時はあんなにすらすらと出た言葉も、今は何故かつっかえてしまう。
電話口からの返事が怖くなる。
自分で決めたことなのに。
ダメだよね、こんなんじゃ……。
自然と顔は俯いて、目が熱くなる。
｢名前｣
｢……っ、はい｣
｢我も会いたいよ｣
｢本当……ですか？｣
｢もちろんさ。前に言っただろう。名前には我の目の届くところにいてほしいって｣
劉さんの言葉を受けとめる度に目に浮かんでいた涙がすっと引いていく。
｢でも、名前の自由を奪うようなこと我はしたくない。攫いに来て欲しいって言うなら話は別だけどね！｣
劉さんの言葉に思わず笑みが零れた。
頑張ろう、劉さんのために。
空から降る雪が、もうすぐやってくるクリスマスの訪れを告げていた。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです！ (2021年8月9日 16時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい！ (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして！素敵なコメントありがとうございます！小説を書く励みになります……；；これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして！本当に劉がかっこよすぎてたまりません（ ; ; ）ありがとうございます（ ; ; ）更新応援しております！楽しみですっ！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……！ (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2020年9月29日 3時
