第87話 中毒 ページ45
劉さんの目を見てそう言うと、劉さんは首を傾げた。
｢私の劉さんへのこの気持ちが、阿片の影響なのかもしれないって疑心暗鬼になってたことです……｣
あの人に言われてそれがさらに大きくなって。
絶対違う、と言いきれない自分がいて。
両頬に添えられた劉さんの手の感触を、温もりを確かめるように上から自分の手を添えた。
｢ダメじゃないか、名前。“赤の他人”なんかに惑わされちゃ｣
｢……！｣
｢第一、我は名前の意思なく吸わせたりしないよ。でもそうだね、そんなに不安なら確かめてみるかい？｣
｢え？｣
そう言うと劉さんは書斎机の上に置かれていた煙管を手に取って火をつける。
一口、まずは劉さんが吸った。
今度は私に煙がかからないように顔を背けた。
その動作一つ一つが、あの日の夜を思い出させた。
｢……劉さん｣
私が堪らずに名前を呼ぶとそれを待っていたかのように劉さんは私の腰に回していた手に力を入れて、グイッと私を引き寄せた。
服越しに劉さんとお腹がくっつくと、そのまま劉さんと口付けする。
突然の事だったけれど、不思議と受け入れている自分がいた。
長く、深い……____________。
口内に広がる薄荷の味。
それは確かに、あの日の夜吸ったものと同じ味だった。
必死についていこうと頑張るが、それに気づいた劉さんが少しだけ名残惜しそうに唇を離す。
｢んっ……ごめんね、苦しかったかい？｣
｢ぁ、ん……、はぁ、大丈夫です……っ｣
私がへらっと笑ってそう言うと、劉さんがまた抱きしめてくれた。
いつもよりずっと優しく、大切そうに……。
｢……やっぱり飼われているのは我の方だ｣
｢ら、劉さん？｣
劉さんが何かぽつりと呟いた後、私の首筋に自身の頭をグリグリと押し付ける。
｢名前ってさ、中毒性あるよね｣
｢え？中毒性、ですか？｣
｢阿片なんかよりずっと気持ちいいかもしれないよ｣
劉さんの言葉の意味があまり理解できないまま、私は劉さんはそっと抱きしめ返した。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです！ (2021年8月9日 16時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい！ (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして！素敵なコメントありがとうございます！小説を書く励みになります……；；これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして！本当に劉がかっこよすぎてたまりません（ ; ; ）ありがとうございます（ ; ; ）更新応援しております！楽しみですっ！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……！ (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2020年9月29日 3時
