第77話 損害 ページ35
｢さ、くら……？｣
｢名前……この人はワカミヤ キョーコさん。日本からお前を探しに来たそうだ｣
｢……え、なんで、誰ですか……｣
シエルが気まずそうにそう言う。
私は意味が分からずその場で固まってしまった。
ワカミヤ キョーコ
日本
私を探しに
喉が焼けるように熱い。
混乱する私の手を優しく引いて、セバスチャンさんは私を客室の椅子に座らせてくれた。
ワカミヤ キョーコという女性はシエルの隣に座り直し、私と向かい合った。
｢名前……そう、それが今の貴方の名前なのね……｣
｢混乱させたな。まずは一から説明しよう｣
シエルはそう切り出してこの女性のことを話してくれた。
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｢ワカミヤ サクラ。それが私の娘の名前です｣
名前が屋敷に来る一時間前。
シエルの目の前にいる女性、ワカミヤ キョーコはシエルに一枚の写真を見せる。
それは子供の写真ではなく、キョーコと、その隣に並ぶ一人の男性。
｢隣の男性は私の夫です。今は他界していませんが、名前はワカミヤ ノリトシ｣
｢娘の写真はないのか？｣
｢……娘と引き離されたのは、あの子を出産してすぐでした。なので写真どころか、今どんな姿なのかも分かりません｣
｢はぁ？それじゃあ探しようがない。それにそんな状況の中、なんで僕にたどり着いたんだ｣
女性はそう聞かれ、目を伏せながら話し出した。
｢あの子を引き渡したのは上海マフィアの連中でした｣
｢マフィア……？｣
その言葉を聞いてシエルの後ろに控えていたセバスチャンも反応した。
｢お恥ずかしい話、私の夫は薬 物中毒者でした。その薬 物の中に上海マフィアから買った阿片がありました……けれど私のお腹に子を授かった時、彼は薬 物から足を洗うと言ってくれたんです｣
相手は上海マフィア。
簡単に切り離せる連中ではないことを、シエルは知っている。
｢連中はそんな夫に目をつけるようになって、多額のお金を請求されるようになったんです……｣
｢金？｣
｢マフィアにとって中毒者は財布そのもの。小さい組織であれば、それを一つでも失うことは大きな損害｣
その分の損害を補え、などと脅されたのではありませんか？とセバスチャンが聞くとキョーコは怯えたように頷いた。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです！ (2021年8月9日 16時) (
レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい！ (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして！素敵なコメントありがとうございます！小説を書く励みになります……；；これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして！本当に劉がかっこよすぎてたまりません（ ; ; ）ありがとうございます（ ; ; ）更新応援しております！楽しみですっ！ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです；；これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……！ (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：古畑のねこ | 作成日時：2020年9月29日 3時
