溺愛、死 2【黒執事】

第71話 友達 ページ28

｢さぁ、リジー。もう日も暮れてきたからお屋敷に戻ろう｣


｢うん！きっと劉も心配してるわね｣


｢いや、劉さんよりシエルの方が、｣


｢我が何だい？｣


｢きゃっ！ら、劉さん！？｣



突然私の背後から聞こえた劉さんの声に驚いて振り向けばにこにこと笑いながら立つ劉さんの姿。



｢どうしてここに……｣


｢我は心配ないって言ってるのに、どうしても迎えに行くって我儘言うからさ｣


｢……まさか｣



ぽつりと呟くリジーに劉さんは優しく微笑んだ。



｢さぁ、伯爵のお迎えだよ｣



劉さんの視線の先を辿っていくとそこには馬車から降りたシエルの姿。

その顔はどこか不機嫌そうで。



｢リジー！お前はどれだけ迷惑をかければ気が、｣


｢シエルー！！｣


｢ぅ、おいコラ！リジー！公の場で抱きつく奴があるか！｣


｢だって嬉しいんだもの！シエル、迎えに来てくれてありがとう！｣


｢……ふん｣



リジーの嬉しそうな顔を見て、
私もほっとした。



｢劉さん｣


｢ん？｣


｢私、今日友達ができました｣


｢へぇ、良かったじゃないか。どんな子だい？｣


｢とびきり可愛い女の子です｣









いつの日か

お互いの主人のために争う日がきたとして

どちらかの血が流れるとして

そのいつの日かのために、私も強くなる。

だから、リジーも頑張って。









そんな日がこないことを祈って、
私は劉さんの腕に手を回した。









女の子たちの秘め事編 fin.

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