第67話 我慢 ページ24
「……いつものことなの?」
私のその言葉だけが、客室に響く。
「名前には関係ない」
「私は、分かる気がする」
「何がだ」
「大好きな人とは、一分でも長く一緒にいたい。でもその人に迷惑はかけたくない、我儘言わないようにしようって。だから我慢しちゃうんじゃないかな」
「我慢?あいつの場合、あまり我慢してるようには見えないがな。今日だって電話で会えないことを伝えたのに勝手に、」
「リジーが我慢してないように見えるなら、シエルはリジーのこと何も分かってないと思う」
私の言葉にシエルは眉間に皺を寄せた。
そんなシエルを見てセバスチャンさんがシエルを宥める。
セバスチャンさんの優しさを見ても、もう止められなかった。
「なんで、追いかけないの……」
もし、私がリジーの立場だったら、
追いかけてきてくれるのは____________
「リジーにはシエルしかいないのにっ……!」
劉さんがいい。
きっとリジーは、シエルがいいって言うはずだよね。
私はそう言い捨ててリジーの後を追った。
「劉さん、ごめんなさい!すぐ戻りますからっ……」
客室を出る直前、振り向いてそう言うと劉さんは微笑みながら、
「
と言って、手を振ってくれた。
________________________
____________
「はぁ、はぁ……っ、リジー!」
「!……名前……」
あれから英国の街を走り回ってようやくリジーの姿を見つけた。
リジーの前で止まってから、私は乱れた息を整えた。
「名前、走ってきてくれたの……?」
「っ、え?」
「息も切れてるし、すごい汗だから……」
そう言ってリジーは持っていた自分のハンカチで私の汗を拭いてくれた。
「当たり前だよ……!友達、だからっ……」
友達____________
そう思ってるのは私だけかな。
なんて考えていると、リジーは突然私に抱きついてきた。急なことに驚いたが、何とか彼女を受け止める。
「名前ありがとう!私、すっごく嬉しい……」
「……本当はシエルが良かったよね」
「いいの!前にも似たようなことが何度かあったけど、迎えに来てくれるのはシエルのところの使用人か、私のところの使用人。シエルが来てくれたことなんて一度もないの……」
シエル。
やっぱりリジーはすごく我慢してるよ。
早く気づいてあげて。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです! (2021年8月9日 16時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい! (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして!素敵なコメントありがとうございます!小説を書く励みになります……;;これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして!本当に劉がかっこよすぎてたまりません( ; ; )ありがとうございます( ; ; )更新応援しております!楽しみですっ! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……! (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古畑のねこ | 作成日時:2020年9月29日 3時