第66話 優先 ページ23
「今日だってこの前出来なかったお買い物の埋め合わせで来たのに、結局シエルはお仕事してるし……」
「それについてはさっき謝っただろう。今日は先にこっちを片付けたいんだ」
「……シエルは、」
「?」
「シエルは、私とのお買い物より、お仕事の方が大事なのね……」
「は、はぁ!?何でそうなる!」
「だってそうでしょう!?……楽しみにしてたのにっ……」
リジーは今にも泣き出しそうに顔を俯かせる。
こんな彼女を初めて見た……。
私は黙っていられず、リジーに寄り添った。
「リジー……きっとシエルはそんなつもりじゃ、」
「劉だったら……」
「……え?」
「劉と名前だったら、こんな風にならないもの……っ」
「え、我?」
「リジー……?」
リジーは私の手を払って、顔を上げる。
そして彼女はシエルの目を見て言い放った。
「もういいっ……!シエルの分からず屋!もう知らないッ……!」
「お、おい!リジー!」
リジーはそう言い残してお屋敷を飛び出していった。
突然のことに驚いたが、私は後を追おうと踏み出したが、
「あーあ」
という、劉さんの声で足が止まる。
「どうするのさ、伯爵」
「坊ちゃん、だから言ったではありませんか。今回はエリザベス様との時間を優先した方が良いと」
「はぁ……、そんなことできるか。いつものことだ、メイリンたちに探させる」
「シエルは、行かないの?」
私の問いにシエルは何度目かのため息をついて続ける。
「付き合ってられん……それより、なんで劉と名前の名前が出てくるんだ」
「さぁ?我も驚いたよ。ねぇ、名前?」
劉さんはそう言って、未だに客室の扉の方につま先を向けている私の頭を優しく撫でる。
いつもならそんな劉さんの体に擦り寄っていたかもしれないけど、今は違った。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです! (2021年8月9日 16時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい! (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして!素敵なコメントありがとうございます!小説を書く励みになります……;;これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして!本当に劉がかっこよすぎてたまりません( ; ; )ありがとうございます( ; ; )更新応援しております!楽しみですっ! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……! (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古畑のねこ | 作成日時:2020年9月29日 3時