第65話 記憶 ページ22
「私も名前のメイド姿見たかったなぁ……」
そう言い肩を落とす彼女の名前はエリザベス。
彼女と親しい人はみんな、彼女のことをリジーと呼ぶ。私もその中の一人。
見ても何もないよ、と苦笑しながらそう言うが「名前だから意味があるの!」と言い返されてしまった。
「ところで、名前はどんなクリスマスを過ごしたの?」
「え?」
「劉と過ごしたんでしょ?シエルたちと一緒に過ごしましょって誘ったら断られちゃったんだもの!名前に断られたの、ショックだったんだからね……?」
「ごめんね、次のクリスマスは一緒に過ごそう?」
「もちろんよ!って、そうじゃなくて!劉と何か進展はあった?」
リジーの問いかけに私は首を傾げた。
「……進展?」
「だって二人きりで過ごしたんでしょ?」
リジーに言われ、クリスマスの日の夜を思い出す。
記憶に鮮明に残っているのは、
お料理と
指輪と
それから……
「……っ」
「名前!?顔が真っ赤よ!?」
やっぱり何かあったのね!とリジーが茶化す中、客室の扉が開かれた。
「名前、おまたせ〜。おや、どうしたんだい?」
顔が真っ赤だよ?と劉さんは私の頬に優しく触れた。
その様子をリジーは両頬に手を当て、目をキラキラさせながら見つめた。
「な、なんでもないです……」
「劉、迎えの馬車を入口に待たせてある。それから、今日の件について進展があったらまた連絡する」
「分かったよ、伯爵」
今日はお仕事でシエルのお屋敷に来ていた。
私は劉さんを待っている間、たまたま遊びにきていたリジーとお喋りをしていて今に至る。
帰り支度を始めると、リジーが寂しそうに私の服の袖を掴んだ。
「名前もう帰っちゃうの?もう少しだけ遊びましょ!」
「リジーよせ。劉たちも暇じゃないんだ」
「じゃあシエルが私の相手をしてくれるの?」
「いや……僕もまだ仕事が……」
「むぅ……、シエルはいつもお仕事、お仕事でちっとも私との時間を作ってくれないじゃない!」
「し、仕方ないだろう!」
……ん?
もしかして、これ
やばい雰囲気……ですか?
と、目線を劉さんに向けると
劉さんは目尻を下げて苦笑する。
セバスチャンさんはやれやれとこっそりため息をついている。
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古畑のねこ(プロフ) - みすすさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;続編もありますので、是非そちらも読んで頂けると嬉しいです! (2021年8月9日 16時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
みすす - おもしろい! (2021年8月9日 11時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - りのさん» はじめまして!素敵なコメントありがとうございます!小説を書く励みになります……;;これからも頑張って更新していきますので、お時間がある時に読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月18日 0時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - はじめまして!本当に劉がかっこよすぎてたまりません( ; ; )ありがとうございます( ; ; )更新応援しております!楽しみですっ! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 316c0ca52b (このIDを非表示/違反報告)
古畑のねこ(プロフ) - きなこさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです;;これからもかっこいい劉をたくさん書いていきますので、お時間あるときに癒されて頂ければ幸いです……! (2021年1月2日 23時) (レス) id: f94598afd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古畑のねこ | 作成日時:2020年9月29日 3時