溺愛、死 2【黒執事】

第61話 当然 ページ16

劉さんのために、人を____________……考えたことがなかった。



｢誰かを守るということは、代わりに誰かを傷つけるということさ。分かるだろ？｣



……聞いちゃ、いけない。

私が答えなきゃいけない立場だから。

でも、聞きたい。もし、私の望む答えを劉さんが言ってくれるなら。劉さんの口から直接聞きたい。



｢……ら、劉さんは……、｣


｢ん？｣


｢わ、私の、ために……人を、殺せますか？｣









｢ 当然(もちろんだよ)｣









あぁ、この人は



簡単に私の心を奪っていく。



まるで、



悪魔のように。









｢劉さん！私もッ……！｣


｢ありがとう｣


｢！｣


｢名前のその気持ちだけで、我は十分だよ｣



劉さんは私の言葉の続きが分かったのか、遮ってそう言う。

ずるい、ずるいです……。

それが悔しくて、泣きそうになるのを必死に隠すように私は椅子に座る劉さんに抱きついた。



｢よしよし｣


｢……絶対ッ、｣


｢ん？｣


｢貴方を守ってみせます……！私のためにも、劉さんのためにもっ……｣


｢……期待してるよ。でも我は名前が死 んでしまうのは嫌だから、我にも名前を守らせてほしいな｣





____________こういうの、なんて言うんだっけ。
劉さんの顔を見つめ考える。

お互いが想い合って、強く惹かれ合う。

中国語で確か……









｢ 相互依存 (共依存)｣



私の呟きに劉さんは笑みを深めた。



｢ 是啊、最好的(そうだね、最高じゃないか)｣

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