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右の窓際席でウトウトしていた葵ちゃんがびっくりした顔でこっちを見てくる。
「お前じゃあ、稲妻町から走って天河原中まで来たのか？ 」
「……冗談、だよね？ 」
「え？ 」
「え」
「……え？ 」
どう会話を続けていいのか分からず黙っていると、バス内はそれっきり完全な静寂に包まれ結局トランプは鞄の底で眠ることになった。
この重々しい空気をどうにかしたかったが、私にはどうにもできなかった。
試合が終わり、次の日は朝からサッカー部の練習だった。ジャージの下にユニフォームを仕込むと、なんだかサッカークラブ時代を思い出す。
「……よし！ 」
眠気覚ましに両頬を手のひらで叩いた。時刻は六時。多少迷っても余裕を持って到着できるだろう。
フラグだった。
「あああごめんごめんごめん……！ 」
「プッ……！ いいよ。おはよ、反田さん」
「遅いよ典子ちゃんー！ 」
「ごめんなさーい！ なんでいっつもこうなるんだろう……！？ 」
サッカー棟についた頃には既に松風君と西園君が準備を終わらせていて、葵ちゃんのドリンク作りを手伝っていた。
「荷物置いてきたら？ 」
「う、うん」
「もしかして置く場所わからないんじゃない？ 」
「それは馬鹿に過ぎだよ西園君！ …………。私は馬鹿です！！ 」
「わ、分からないんだね。分かったよ、一緒に行こ！ 」
松風君がボトルをカゴに入れて立ち上がる。
「面目ないぃ……」
「いいって。あれ、先輩達がエントランスにいる」
「ホントだ」
部室に入るなりすればいいのに、どうして立ち話をしているんだろう。私と松風君は顔を見合せた。
「お疲れ様で」
「迷惑なんだよ──」
松風君の挨拶は、南沢さん(葵ちゃんに名簿を貰ったから暗記してきました。もう先輩の名前が出てこないなんて失態はやらかしません。)の、強めの語気にかき消された。
緊迫した場を壊さないようどちらからともなく黙る。そしてそんな私達に全く構わず先輩方は話し合いを続けた。
「神童、三国。これ以上お前達の言うサッカーを押し付けるな。ホーリーロードで指示に逆らってフィフスセクターが黙っていると思うか。お前らは廃部になってもいいのか？ 」
廃部というワードにドキリと脈が跳ねた。
「確かに一回戦は久々に熱い試合だったぜ。……だが、それでサッカーが出来なくなるのはゴメンだ！ 」
「全部の試合にフィフスセクターからの指示が来るわけじゃないド。真剣にやるのはその時まで我慢だド……」
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やに(プロフ) - 杳覇さん» くらちゃんコメントありがとうございます(^^) 頑張りますー！ あと早速誤字やらかしているので、読み直し徹底して行きたいと思います恥 (2021年7月12日 10時) (
レス) id: 73f24c4202 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - よっしゃ新作きたーー！！！ あああ一話目から面白そう……！！ え、え、めっちゃ楽しみです……！！ 更新待ってます！！ あとその、「急な転向」って「急な転校」ではないでしょうか……！ (2021年7月12日 10時) (レス) id: 7468c0248e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やに | 作成日時：2021年7月12日 10時
