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「お前の兄貴に『妹の家に置いてくれ』って言われたんだよ」
「兄さんが……？ 」
一気に胡散臭くなってきた。
「本当に中身知らないの？ 」
「知らね。まだ開けてないのか？ 」
黙って頷き、暗証番号の心当たりもないと告げる。
「てっきりお前ら兄妹間でわかる暗号でもあんのかと」
「そんなもの、都合いいものがある訳ないだろう」
「お前らの誕生日とか入れてみたら？ 案外それで開くかもしれねぇじゃん」
「えぇー、そんな安直なことしてたら引いちゃうなぁ……」
しかし、僕らの情報は基本秘匿されている。噂程度の情報では無い──例え誕生日や血液型、食べ物の好き嫌いといったほんの些細なことでも、知っている者は限られている。確かに一度確かめてみる価値はあるかもしれない。
ウッドデッキから小箱を取り出して、キー入力画面に『０９０６』と打ちこんだ。
「影山ちゃん九月生まれなんだ」
「ちゃっかり覗き込んで個人情報を盗み見るな」
そしてしっかりとパスワードは弾かれてしまう。流石に誕生日そのままを設定する程馬鹿ではないか。それかそもそも僕達が九月六日生まれという前提が誤っているというのも有り得る。自分の話なのに分からないことだらけ。
「……そんな簡単なパスワードな訳がないよね」
「他に宛は」
「あったら昨日試してるよ」
小箱をしまい、不動と向き合う。
さて話題が尽きたが、これからどうしたものか。
「今日も練習サボんのか？ 」
少し気まずい静けさの中、沈黙を破ったのは不動の方だった。
「あはは、サボりって」
「仮にも推薦選手だろ。規範となるような行動をするべきじゃねえか？ 」
「毛ほどもそんなこと思ってないだろうに」
「まぁそうツレナイこと言うなよ」
不動がいつの間にかサッカーボールを抱いている。
大量の調理器具達を抱えてやってきたというのに、一体どこに隠し持っていたんだ。
「雷門にいる連中が動き出すのは八時だ。付き合えよ影山。それまで俺とサッカーしようぜ」
「はぁ」
そうだった、コイツ僕が嫌がる顔見たさに押しかけているんだった。ここは逆張りでうんと楽しそうに誘いに応えるべきだったか？
──それまで俺とサッカーしようぜ。
──勿論だとも！ 早く行こう！
──クククッ。
脳内でシミュレーションしたが、結果は大差なさそうだ。
しかし、しっかり断ったところで不動が家を素直に出ていくとは思えない。となればまだ外に連れ出した方がマシか？
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか！ ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (
レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました！更新ゆるりと待ってます！！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し40482号 | 作成日時：2020年10月18日 21時
