▼ ページ7
「あ、ねぇ。あの子生理来てそう？ 」
そんな気色の悪い声で酷い話題を振ってくる。
「家にそういう類いの物は見当たらなかった。アイツが徹底的に隠しているってのもありえるけど」
「そっか。いいタイミングで聞き出しておいて」
「マジでキモいなお前」
「えー引かないでよ。理由ちゃんと説明したでしょ？ 」
「だとしても、だろ」
呆れているとなにやら電話口の向こうが騒がしくなった。
「ごめん、呼ばれたからまたね」
返事を待たずして電話が切れる。突然電話かけてきて向こうの都合で切られたことに不快感を覚えながら、嫌がらせに取り掛かるべく靴を脱いだ。
＊＊＊
「げ」
自宅のアパートから光が漏れていることに気づいて溜息をつく。
「鬼道さんから連絡が来る前に、さっさと管理会社に電話しとけば良かったなぁ……」
短い廊下と部屋とを隔てる引き戸に手を伸ばし、恐る恐る開ける。案の定不動がいた。
「よぉ、遅かったな」
視線を携帯画面から僕の方へ移して、例の性格が悪そうな笑顔を浮かべる。
「不動君と違って僕は忙しいからね」
ドサッと今日の晩御飯を床に置くと不動が軽く眉を顰めた。ビニール袋からはクッキーフレーバーとミネラルウォーターが透けて見えている。
「またそれかよ」
「何食べようと僕の勝手だろう」
栄養素の偏りと便秘が不安だったが、この二年間はなんの問題もなく過ごせている。それにサプリも常備しているから問題はない、はず。
「食事ってより餌だな」
「これからも帝国学園に通いたいのなら、言葉遣いに気をつけろよ」
「おぉこえーこえー」
「はぁ……。なにしに来たの。もう九時近いけど」
「飯作りに来たに決まってんだろ」
朝、兄さんから僕の面倒を任されたとか言ってたな。からかってるだけだと思ってたけど、本当に頼まれたのかもしれない。
「迷惑だなぁー」
「文句ならテメェの兄貴に言え」
「兄さんに頼まれたからって、どうして破ってもバレようがない約束を律儀に守ってるんだ」
「俺が付き纏ったら影山ちゃん嫌がるだろ？ 」
「人が嫌がる姿を見る為だけに働こうとするとか、君マジでどうしようもないね」
この家はガスこそ通っているが調理器具が全く存在しない。そんな所に食材と調理器具を持ち込んでまで嫌がる顔が見たい一心で押しかけてくるなど馬鹿げている。
不動明王って名前の癖に、やることなすこと幼稚過ぎるんじゃないか。これだから嫌なんだ神様ってのは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか！ ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (
レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました！更新ゆるりと待ってます！！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し40482号 | 作成日時：2020年10月18日 21時
