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その後も二人の会話は続いたが、俺はほとんど口を出さずに傍観していた。
「旦那様」
袴田が父さんに何やら耳打ちする。
「そうか。食事の準備ができたらしい。早いが夕食にしよう」
気づけば外は夕焼けで真っ赤になっていた。庭木の葉がまるで燃えているように見える。
「零君も食べて行くといい」
「せっかくのお誘いですが、この後私用がありまして」
「おや、そうなのかね」
「申し訳ございません」
影山はもっともらしく肩を縮めた。
「謝る必要はない。帰りの車を用意させるよ」
「お心遣いありがとうございます」
深々と頭を下げた後、案内に従って部屋から出ていく。
影山を乗せた車が走り出すことを確認して、父さんは語り出した。
「オーストラリア戦での素行を聞いた時は、どんな不良息子だろうかと思ったが……底が知れないな。上手くはぐらかされてしまったよ。陽炎でも追っているようだ」
「……」
「話というのは、零君のことだろう？ 」
「はい」
「彼は影山さんの養子だ。血の繋がりはあるが実の息子ではない」
俺が頷くのを確かめて続ける。
「十年前。影山さんは失踪した己の父を探す過程で、生き別れの弟夫婦と再会した。夫婦には子供がいて、その子供が零君だ」
「……」
「零君は虐待を受けていて、見かねた影山さんが養子に迎え入れた。……ということになっている」
「なっている？ 」
「弟夫婦を児童相談所に通報した者が行方不明になる。依頼した弁護士が裁判所に来ない。夫の急な左遷が決まる……これ以外にも彼の家族についての話はあるが……あまり話していて気分が良いものじゃないな」
「……」
「ただそれも含めて、我々の近辺ではよくある話といえばそれまでだが。しかしあまりにも不信な点が多い」
なにせその噂はこの一年でどこからともなく広まった。
影山零治は敵の多い人間だった。そんな彼の不祥事ならいざ知らず、広めて何のメリットがあるか分からないゴシップなど、一体誰が、何の為に流布したのか。
「今までもその類の噂話は絶えなかったが、この話には個人の強い意図が見える。そしてこの話を広めた個人というので、考えられるとすれば零君だろう」
「影山が、ですか」
「ああ。私も彼と会ったのは八年前のパーティの一度だけ。彼が本当にあの時の零君であるならば、なぜ今まで隠れていた？ 」
あの影山零治が養子に迎えてまで欲しがった子供だ。後継として育てるのならば、後援者である鬼道家には懇意にするだろう。
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名無し40482号(プロフ) - 夢蜂さん» ホントですか！ ありがとうございます。久しぶりに筆をとったのでお見苦しい点もあるかと思いますが、完結までまだまだこれからなので長い目で応援して頂けたらと思います(^^) (2020年11月13日 20時) (
レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 久しぶりに占ツクに帰ってきたら好きな作品に巡り会えました！更新ゆるりと待ってます！！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: e0800992ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し40482号 | 作成日時：2020年10月18日 21時
