Ｎｏ．１２【inzmGO】CEN (ページ27)

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釣りを楽しんでいると、浜野先輩の上着ポケットから音が漏れた。

「ありゃ、神童から電話だ。もしもーし」
「凄い。典子見て、浜野先輩スマホ使ってるよ……」
「ホントだね、かっこいい〜……」

　通話の邪魔をしない様に小声で会話していると、浜野先輩が大きな声を出した。
　分かった、うんうんすぐ行く──慌てた様子で彼は私達に向き直りこう言った。

「大変だ！海王学園が剣城を連れてっちゃったって！」

　どこに連れて行かれたか全く検討がつかない為、部員総出で剣城を助けるべく稲妻町を駆け回る。松風は宛もなく一目散に駆けて行ったので、私は浜野先輩と街中で目撃証言を募る事にした。

「剣城ー！どこ行ったのー！」
「こりゃもうかなり遠くに行っちゃってるんじゃね？」
「うぅ。どこに行ったかの検討もついてないんですか？」
「うーん、倒れてる間に連れてかれたらしいから……」
「倒れたって、誰が！？」
「一乃と青山。海王の奴らに囲まれてる剣城を見たアイツらが、タダ事じゃないと思って絡んだら返り討ちだって」
「そ、そんな」
「大怪我追った訳じゃないけど打撲が酷いから、保健室で休んでるらしい」

　通話とは違う電子音に私はビクリと肩を震わせた。二人同時に鳴ったという事はイナッターだ。
　鉄塔、と短く神童先輩が投稿している。先輩に限って誤送信とも思えない。

「と、言ってるそばからタイミング良く連絡来ちゃったな」
「鉄塔に行けって事ですよね、これ」
「そうだろうなぁー、って！おい反田！」
「先に行きます！！」
「待てお前鉄塔の道、もー！待てって！」

　浜野先輩に鉄塔への道を教えて貰いながら、階段を、坂を登り開けた場所に出ると、そこでは雷門の皆と状況的に海王学園と思しき少年達がミニゲームを行っている真っ最中だった。

「剣城！松風！」

　私に気づいた海王のキャプテンが地面に唾を吐く。

「葵ちゃん、今どういう状況！？」
「典子ちゃん！どうしよう、このままじゃ負けちゃう……！剣城君が」
「海王学園の奴ら、剣城を処罰するとか何とかで、取り返す為にミニゲームする事になったんだ……！負けたら剣城が連れて行かれちゃう！」

　半ばパニックの葵ちゃんに代わって、信助が説明してくれた。見る限り海王学園は全力を出していないどころか、皆にラフプレーを仕掛けいたぶっている様に見える。

「なぜ必殺技を使わない……！」

　神童先輩も気づいていたらしく、海王の選手にそう怒鳴った。