ろく ページ6
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Aちゃんはあまり表情が変わらない。
音はころころと変わるんだけどそれが表情に出ていないんだ。
やっと笑ったかと思えば嬉しそうな音はしていなかったりしてて、
いつからかAちゃんの表情と音が嬉しそうにしてくれたらなんて思っていた。
そんなAちゃんの表情と音が一致したのが、俺にご飯を食べさせてくれてる時だった。
本心で美味しい、好きって言うと今まで見た事ないくらい綺麗な音と笑顔でなんとも言えない幸福感でいっぱいになった。
また、笑わせてあげたい。
そう思っていたのに。
訓練が始まってからAちゃんと全くといっていいほど話していない。
話しかけたいんだけど手を握ったあの日から緊張して話しかけられないんだよぉ。
……手、小さくて柔らかかったな。
耳をすまさなくても聞こえるくらい大きな鼓動だったし照れてたのかな。
だとしたら可愛すぎる。
いやいや、それは今は置いといて!
今どこにいるのかな。
1人だったら話しかけてみよっと。
話題は今日の夜ご飯だと話しやすいかも!
Aちゃんを探して台所に行くとAちゃんの声と嬉しそうな音が聞こえた。
Aちゃんが嬉しそうな音を出してる!
何で出してるんだろうと覗くと炭治郎がAちゃんの頭を愛しそうに撫でていた。
禰豆子ちゃんに撫でる時とは違う表情で。
Aちゃんは嬉しそうに笑顔で鈴のような音も立てていた。
何が患者に平等にしているんだよ。
炭治郎だけ名前で呼んで簡単に触らせて相談もして。
俺じゃなくて炭治郎しか、Aちゃんを笑わせてあげられないんだろうか。
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作者名:あいかわ | 作成日時:2020年4月7日 1時