黒先輩との出会い ページ15
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あれは1年前の入学式の日や。
俺はここにいた。
誰もいない部室、誰かが置いてったギターを手に取った。
ギターなんて弾けへんくせに、なんとなく懐かしくて弦をぽろぽろ弾いとった。
そしたら勢いよくドアが開いて、やってきたのがA。
びっくりしたわ、誰か来るとは思ってへんかったからな。
｢横山先輩…？｣
｢そうやけど｣
なんでこの子俺の名前知ってるんやろう？
当時まだ生徒会には入ってなかったし、そない有名やなかったしな。
｢あーやっと見つけたー！
今日中に会えてよかったー！｣
Aは初対面の俺にいきなり抱きつきよった。
恥ずかしながらこういうのに免疫のない俺は、いきなり女の子に抱きつかれて戸惑いとともに胸が高鳴ってしまった。
髪めっちゃ短くて男みたいやけど、よう見たらこの子めちゃくちゃかわええやん。
こんな子がどうして俺を探してたんやろか？
せやけどすぐにその理由はわかった。
｢安田章大、知ってるやろ？｣
安田章大、それは俺の従兄弟の兄ちゃんの名前や。
1年前に突然姿消してもうた。
｢なんで、兄ちゃんのこと知ってるん？｣
｢信ちゃんがな、言っとった。
あ！信ちゃんは村上信五！
多分会ったことあるはずやけど、わかります？｣
村上信五…信五くん。
あー、兄ちゃんの友達や。
確か兄ちゃんに遊んでもろてる時、何度か会うたことがある。
｢私信ちゃんと仲良いねん。
信ちゃんから横山先輩の事聞いた。
この学校におるって。｣
｢で、君と兄ちゃんはどういう関係？｣
｢んー、ふかぁい関係｣
せやったら兄ちゃんの居場所知ってるんやないか？
と思うたけど、聞いたら
｢そんなの私が知りたい！｣
って怒られたっけな。
なんで俺が怒られたんかは今でも謎や。
出会った時からAは嵐みたいやったな。
自然とそれに巻き込まれて、でも心地悪ない、むしろずっとそこにおりたいって思わせる。
不思議なやつ。
懐かしんでたらギターの音色が響いた。
1年がチューニング始めたみたいや。
この音…あれ？
俺はそいつのギター見て、固まった。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月28日 18時
