Happy Valentine(∞短編集)

安田くん ページ25

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安田くんは優しい。




安田くんは面白い。




安田くんはギターが上手。




安田くんは少し天然。




安田くんはクラスメイト。



安田くんは私と仲良し。









そんな安田くんは親友の好きな人。









｢私な、安田くんのこと好きやねん。｣









親友の英花から打ち明けられたのは数ヶ月前のこと。



安田くんは同じクラスの隣の席の男の子。



その事がきっかけで今では学校の中で1番仲のいい男友達になった。



休み時間もしょっちゅうくだらない事で笑ったりしている。



そこへ時々やってくるのが隣のクラスの英花。



その時に安田くんとも話をするようになって好きになったみたい。



｢そうなんや。｣



｢なぁ、A協力してくれる？｣



その時はそれほど特別な感情もなく英花のお願いを承諾した。





だけど、すぐに後悔することになる。









次の日から英花は前以上に私のところへやってくるようになった。



もちろん安田くんがいる時を狙って。



安田くんも優しいから、英花とも仲良く話をしていた。


日に日に増えていく会話、縮まる二人の距離。



これでいいはずなのに、私の中でモヤモヤとした気持ちが生まれた。


なんだろうこの気持ちは…









その気持ちがなんなのか気づくのにそれほど時間はかからなかった。















"私も安田くんが好きだ"









親友の気持ちを聞いてから自分の気持ちに気づくなんて、なんて最低だろう。



この気持ちは誰にも言わない。



英花を応援する。



そう心に決めた。








だから、2人がどれだけ仲良く話していようが、安田くんから英花の名前が出ようが、それを見てモヤモヤする気持ちをなるべく見て見ぬふりして過ごした。









そんなモヤモヤを抱えて数ヶ月、もうすぐバレンタインがやってくる。








いつもの様に一緒に帰るために英花を待っていた。



英花はいつもより少し遅い時間に私の教室にやってきた。



少し息が上がっていたので走ってきたのかな？と思った。



だけどその表情はスッキリしていて、私の前にやってくると開口一番、









｢A、私バレンタインに安田くんに告白する！｣








と宣言してきた。

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