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本当に自分勝手だと思う。
散々揶揄って、牽制して、相談相手になってもらった。
Aちゃんだって馬鹿じゃないから俺の口から嫌というほど涼子さんのことを聞かされた手前、2人の邪魔はしたくないのだろう。
でも俺は、さっきはっきりと気づいてしまった。
ずっと隠そうと必死にもがいてきた自分の気持ちに。
Aちゃんのことが好きだ。
あの時、間違いなく俺の傍からいなくなったら嫌だと思ったのはAちゃんだった。
Aちゃんだけは失いたくない。
隣にいて欲しい。
でも今の俺にはAちゃんを幸せにする資格なんてない。
今の俺には…
それでも気づいてしまった気持ちに蓋をするのはとても難しい事だった。
夜、俺はAちゃんの部屋の前にいた。
怪我が心配なのは本当だけど、それは口実で本当はただ一緒にいたかったから。
頬に触れて見つめあって、彼女の瞳が揺れているのに気づいてしまうくらい近づいて、本当はキスしたかった。
何とかこらえて帰ろうとした時俺はAちゃんを抱きしめてた。
ぎゅっと強く、この腕の中に彼女を閉じ込める。
気持ちが止まらない。
この感じだ。しっくりくる。
でもAちゃんの手が俺の背中に回ってハッとした。
何やってんだ。
俺はまだ全てのことをちゃんと終わらせてない。
Aちゃんにそんな中途半端な状態で近づいたらダメだ。
慌てて離れて部屋を出る。
まだ胸の鼓動が大きく波打っていた。
「そこ、ふっかさんの部屋やないけど?」
部屋を出ると康二に声をかけられた。
康二は思いっきり俺を睨んだ。
そりゃそうだ。
自分の好きな女が他の男に弄ばれてるって思ったら許せないよな普通。
とはいえ康二に、自分の気持ちを伝える訳にもいかないので適当に返事をしてその場を去ろうとした。
そんな俺に康二はもうこれ以上Aちゃんに優しくするなと言った。
康二の言いたいことはわかる。
でもAちゃんのこと康二に任せたくない。
いや、康二だけじゃなくて他の誰にもAちゃんを奪われたくない。
それなのに言い返す間もないまま、康二はAちゃんの部屋のドアをノックした。
ドアが開く前、Aちゃんに見られないように俺はその場から離れた。
ちゃんとするから、もう少し待ってて欲しいんだ。
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カフ(プロフ) - makko210jump622さん» 遅くなってごめんなさい💦お勉強お疲れ様です!お話読んでくれてありがとうございます☺️もどかしい展開が続いてしまったとは思いますが楽しんでもらえたみたいで良かったです💕 (2023年1月6日 23時) (レス) @page43 id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
makko210jump622(プロフ) - 素敵なお話、ありがとうございました!勉強の合間に、とても楽しませてもらいました。途中、ふっか!どっちなんだよ!!と思いつつ(笑)、カフさんの書くふっかがリアコすぎて、悶えながら読みました😁改めて、カフさんお疲れ様でした😊 (2022年12月17日 13時) (レス) @page45 id: b241e75ed7 (このIDを非表示/違反報告)
カフ(プロフ) - いくさん» ありがとうございます!好きだった人だからこそ無下にできない葛藤を上手く表現出来ていましたかね?💦楽しんでもらえてよかったです😄 (2022年12月7日 19時) (レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
カフ(プロフ) - meeeeenさん» ありがとうございます!そうですね😊ライバルにも幸せになってもらいたいと思いながらお話書きました!番外編もお楽しみ頂けたら嬉しいです! (2022年12月7日 19時) (レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
カフ(プロフ) - きこさん» そう言って頂けて嬉しいです😊ありがとうございます😄番外編も引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります👍 (2022年12月7日 19時) (レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カフ | 作成日時:2022年11月18日 22時