隣の甘い誘惑(紫)3

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ちょっと前まで遊んでた子がうちに押しかけてきた。

こういうことは何度も経験してる。

いつもちゃんと聞いてるんだけどな。

俺は誰も好きにならないけどそれでもいいかって。

それなのにそんなこと忘れて責め立ててくる。

ヒステリックを起こした女ほど面倒なものはない。



ちょうどAちゃんが帰ってきてしまって、もう二度とAちゃんにこんな思いさせないって決めたのにまたやっちゃった。

Aちゃんのこと"彼女"だって言った時、後ろにいたAちゃんの体が一瞬ビクッと震えた。

彼女だって言えばAちゃんが喜ぶと思ったから？

違う、そんなんじゃない。

前までは彼女は無関係のお隣さんって言うことによって被害が及ばないようにすることがいいんだって思ってた。

でもAちゃんと仲良くなって彼女のことを知った今、大切な人だと言えば自分の手で遠慮なく守れると思ったんだ。

その時は咄嗟にそう思った。

Aちゃんを傷つけてしまったとも知らずに…


Aちゃんはまた俺に言った。

自分の怪我とか心配なんかよりも先に俺の心配をした。

なんでこの子は…
でもこの子にはもう全部話してもいいかもな。って思った。

俺は彼女に俺の気持ちを話した。

自分で話してもバカバカしい話だって思う。

不倫して捨てられたのに何年経った今でもその人のことを好きだなんて。

でもAちゃんは真剣に聞いてくれた。

俺のことを責めずに、俺を抱きしめて

「深澤くんは最低じゃないよ
自分を責めないで？」


そう言った。

やっぱりこの子は…俺にはもったいないくらいいい子だ。

彼女の気持ちに寄りかかりそうになったところで俺は彼女から離れた。

俺なんかがこれ以上深く関わったらダメだ。

だから次の日は平静を装って彼女に接した。

彼女もそれを受けていつも通り、今それ以上に明るく返してくれた。

よかった…これでまた元通りだ。そう思った。

唯一変わったのは、他の女の子を部屋に呼ばなくなったこと。

Aちゃんに全てを打ち明けてから、自分のこともっと大切にしようって思うようになった。

そうしないとAちゃんはまた泣いちゃうから。

彼女を泣かせたくない。

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