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｢じゃあ海行きますか！｣
しょっぴーの一言で水着にTシャツだけ着ていた男子達はその場Tシャツを脱ぎ出す。
女子はさすがにここで脱ぐわけにいかないので近くの海の家を利用することにした。
｢ねぇ！さっき目黒くんと何話してたの？｣
海の家に向かう途中、浮かれてる真実ちゃんから一歩下がって冴希が私の耳元に顔を寄せた。
｢何って…
ただの世間話だよ？｣
｢ふーん。世間話ねぇ…｣
冴希は言葉の端に含みを持たせ、少しだけ歩くペースを早めた。
｢いいなぁ〜忘れ物しなきゃ良かった〜｣
なんて言ってるから目黒くんのこと本気で気になり始めてるのかな？
でも目黒くんには真実ちゃんが…
って言いかけたけど、人の恋心を勝手にペラペラ喋るのは良くないと思い黙った。
自信ないな…水着。
私は持ってきたパーカーをさっと羽織った。
｢お待たせしましたー！｣
一際テンションの高い真実ちゃんを先頭に私たちが3人の元へ戻ると、皆手を止めて一気にこちらを見た。
その視線にいてもたってもいられず、パーカーの裾をギュッと握る。
そんな私の気持ちを知る由もなく、ここぞとばかりに真実ちゃんがふっかの前に駆け寄り自慢の水着姿をアピールしている。
｢ふっか先輩〜！
真実の新しい水着どうですか？｣
｢あ、うん。
かあいいね｣
｢うわーふっか変態！
鼻の下伸ばしてる｣
｢冴希やめろよ！
伸びてねーし｣
｢変態なふっか先輩も好きですよ｣
｢うわキモイ！
鼻の下3mくらいあんじゃないの？｣
｢そんなねーわ！｣
ふっかと冴希が言い合っているといつの間にか隣にいたしょっぴーが私に話しかけてきた。
｢今日ごめんな。
せっかくチャンスだったのに｣
｢いいのいいの。
旅行楽しいし、夜の花火大会もタイミング良かったよね。｣
｢そうだな｣
しょっぴーの視線の先にはいつも冴希がいる。
その切ない横顔を知ってるのは多分今のところ私しかいない。
しょっぴーこそ、冴希のこといいの？
聞きたいことはいつも聞けないまま、私たちは苦しくて切なくてもこの恋から逃げられないんだよね。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2021年1月13日 20時
