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｢幼なじみなんです。
俺と真実。｣
目黒くんはクーラーボックスの反対側に周り、私の隣に腰を下ろして話を続けた。
シートについた手が触れそうで触れない距離。
パラソルからはみ出した足がジリジリと焼ける。
｢幼稚園で出会って小中とずっと一緒だったんです。
でも俺、高校は男子校だったからそこで初めて離れちゃってやっと同じ学校って思ったらあれですよ。｣
今はふっかさんに夢中であんな感じだけど、先輩達が思ってるほどそんなに悪い子じゃないんですよ。
目黒くんはクーラーボックスから取り出したサイダーをグビっと飲んだ。
呆れているのか…悲しんでいるのか…
でもその目は完全に恋してる人の目だった。
苦しいね、好きな人が他の人見てるって。
｢俺、諦める気ないんで。｣
｢すごいね｣
｢だから先輩達二人には早くくっついてもらいたいんです。
頼みますよ。｣
｢頼みます…って。
どうにかなるならもうとっくになってるんだけどなぁ｣
その時目黒くんの手が完全に私に触れた。
そのまま手を握られる。
びっくりして目黒くんを見ても視線が合うことは無い。
｢ちょっ…｣
｢すみません。
ちょっと煽ってみようかなって思って。｣
目黒くんの視線を辿ると遠くの方にいたふっかと目が合った。
今まで見たことないような鋭い目線。
だけどすぐにそらされてしまう。
私が目黒くんといるのが気に入らないみたいな、まるでヤキモチ妬いてるみたいな…
なんでそんな顔するの？
その行動一つ一つに振り回されてしまうのは片想いしてる証拠。
私もう抜け出せないくらいにふっかのこと好きだ。
今きっと頭の中ぐちゃぐちゃで酷い顔してるから、誰にも見られたくなくて足を曲げて体育座りをして膝に顔を埋めた。
｢ただいまー！
何？A具合悪いの？｣
背中の方から冴希の心配そうな声が聞こえて慌てて顔を上げた。
目黒くんに握られた手は既に離されていて、冴希もそれに関しては気づいていないようだった。
｢大丈夫！
朝早かったからちょっと眠くなっただけ｣
｢ならいいけど、無理しないでよ？｣
｢うん。ありがとう｣
｢浮き輪出来上がりました〜｣
ちょうどそこへふっかと真実ちゃんもひと仕事終えて戻ってきた。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2021年1月13日 20時
