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ふっかに手を引かれたまま河川敷を歩いた。
冴希たちからどんどん離れて、花火大会の会場とは逆の方向に向かっている。
私はただ、前を行くふっかの背中を見つめていた。
歩き始めてしばらく経った時、後ろの方で大きな音と光が咲き、花火が上がった。
「あ、始まった。」
ふっかが足を止めて空を見上げる。
私もふっかの横で上を向いた。
夏の夜空に大きな花火が次々に打ち上げられていく。
「…きれい」
「間に合ってよかった」
繋いだ手が離されたと思ったら今度はふっかにふわりと抱きしめられた。
「…ふっか?」
「Aあのさ、俺…
何言ってんだって思われるかもしれないけど
Aのこと好きなんだよね」
一際大きな花火の光でパッと辺りが明るくなる。
ふっかは今どんな顔してる?
その腕から抜け出して見ようと思ったのにさらに強く抱きしめられて顔を腕の中に埋められた。
「ふっか…苦しい」
「あ!ごめん!」
腕を解かれやっとふっかの顔を見ることが出来た。
花火の光に照らされる顔…恥ずかしそうに視線が逸らされる。
「ふっかこっち見て?」
「ん?」
「私もふっかのこと、好きだよ」
ずっとずっと、好きだった。
「もう、なんでそんな可愛いこというかなー
反則っ」
ふっかは独り言のようにそう呟いたあと、私との距離を1歩縮めた。
そして私の肩を抱いて顔を近づけ、私が抵抗する間もなく唇を重ねた。
驚いて固まる私を余所にふっかはキスを続け、最後にチュッと小さなリップ音と共に唇が離れた。
今度は私が顔を見られたくない番だ。
「あれ?照れてる?」
それなのにわざと覗き込んで私の反応を面白がっている。
「ちょっとやめて」
「かあいい。」
「もう帰る!」
「え、嘘!ちょっと待って」
怒ったふりして私はふっかから遠ざかるように歩き出した。
慌てたふっかが私のあとを追いかけてきたのを見計らって、突然立ち止まり振り返って今度は私からキスをする。
ふっかの驚いて固まった表情はきっとずっと忘れられないだろうな。
キラキラ光る花火の下で、私たちの想いはようやく通じた。
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作者名:神八爽蘭 | 作成日時:2021年1月13日 20時