エイトが幼なじみだったら(横山くんの場合) (ページ18)

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18 横山SIDE ページ18

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お参りして、まだ空も明るかったからのんびり歩いて帰ろういうことになった。

ということは必然的に会社の前を通ることになる。

土曜日の夕方なんて、ほとんど人は会社におらんやろ。

とはいえ、自然と足早になる。

せやのにAは呑気なもんで、会社の前で立ち止まって

｢やっぱりこうしてみると大きいもんやなぁ～｣

とか呟きながらビルを見上げとる。

｢おい、はよ行くぞ！｣

こんなとこ、歓迎会でAの周りにまとわりついとったやつらに見られたら何言われるかわからへん。

それに宮内も、こんなとこ見たらなんて思うやろ。

俺はAの手を引いたが、すぐに離す。

昨日のように手を繋いで歩くなんてことはせえへん。

｢裕、今日楽しかった
ありがとうね｣

って言われて振り向くと、Aが笑顔でこっち見とった。

夕日に照らされて赤く染ったAの綺麗な髪、より一層笑顔がキラキラして見えた。

その笑顔を見て、胸がざわついた。

あれ？なんなん。

かわええ、とか思ってる俺？

いやいやAはただの幼なじみやんか。

かわええも何も無いわ。

昨日のキスとこのデートみたいなシチュエーションが俺の気持ちを煽ってくる。

いや違う。俺はそんな気持ちやない。

違和感と否定と疑問がぐるぐる頭の中を駆け巡って、脳内会議は忙しなかった。

スーパーに寄って家に着いた時には、外はもう暗なっとって、夕飯は簡単なもので済ませた。

Aはいつものジャージ姿で、今はソファーに座ってテレビ見て笑っとる。

いつもなら隣に座って一緒に見るんやけど、なんだか今日は気が引けた。

こんなもやもや抱えて近寄れんって思った。

考えれば考えるほど危ない気がしたので、早めに寝ることにした。