【ヒプマイ】嘘も方便【夢野幻太郎】

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幻太郎side

乱数「んふふ〜」

晩御飯も食べ終え、帝統と彼女が食器を洗いに行ってしまった今、小生は乱数と二人きりである。

正直この状況は避けたかったのですが…

案の定、乱数はずっと楽しそうにこちらをニヤニヤと見つめている。面倒な予感しかしない。

幻太郎「…はぁ、さっきから何ですか」

乱数「別に〜？幻太郎って案外わかりやすいなと思って！」

幻太郎「そうですか、でもそれは貴方の勘違いですよ」

乱数「まだ僕何も言ってないのに！エスパー？！」

幻太郎「まぁそんなところです。」

乱数「じゃあ遠慮なく言わせてもらうけど、幻太郎、Aちゃんが恋愛対象として好きでしょ！」

わざわざ「恋愛対象として」という部分を強調する辺りがなんとも乱数らしい。

幻太郎「ですからそれは勘違いです。
もちろん嫌いではありませんが、恋愛対象として好きというわけでもありません。」

乱数「強情だなぁ…まぁ好きな子ほど意地悪しちゃう気持ちはわかるけどさ〜」

幻太郎「意地悪なんてした覚えはありませんよ。小生が嘘をつくのはいつものことじゃないですか」

乱数「まぁね！でも幻太郎、嘘もほどほどにしなきゃ、メッだよ！」

幻太郎「それはわきまえていますよ。」

乱数「あっそ、じゃあ僕がAちゃんもらっちゃおっと」

幻太郎「は？」

乱数「幻太郎が好きじゃないんなら問題ないよね！」

幻太郎「…一応聞きますが、貴方は彼女のことが好きなのですか？」

乱数「んー女の子は皆可愛いし好きだよ？

でもさ、あーゆータイプほどオトしがいあるってゆーかぁ
僕に完全に堕ちた時が最高に可愛いんだよね！」

女性顔負けの愛らしさで笑いながら最低なことをぬけぬけと言う男。

これを女の敵と言わずして何というのだろうか。

幻太郎「…例えばの話ですが、仮に小生が彼女に好意を持っていたとしましょう。
しかしそれは無意味なのです。」

乱数「なんで？」

心底わからないと言うように首をかしげる。

幻太郎「見込みがないからです。彼女は小生を好きにはならない。」

それならば、心にとどめておいた方がいいと思うのだ。

乱数「何でそう決めつけるかな〜？幻太郎も初恋ってわけじゃないんだし…」

幻太郎「…」

乱数「…え。まじ？
彼女はいたことあるんだよね？」

幻太郎「えぇ。」

少しの沈黙の後、

乱数「……こじらせてるねぇ」

そう言った乱数に、静かにため息を吐いた。

幻太郎「…余計なお世話ですよ」

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