【ヒプマイ】嘘も方便【夢野幻太郎】

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Aside

食べ終わって少しの雑談をする。

帝統は夢野先生から洗い物をする命令を受けて皿洗い中だ。

つまり、二人きり。

A「結局全部食べちゃいましたね」

幻太郎「それだけ美味しかったということですよ」

思わず固まる。びっくりしたのだ。

あまりにも穏やかな表情で褒めてくれたから。本当かと思ってしまう。

でもきっと数秒後には「嘘ですよ」と言われるのだろうけど。

そう思い身構えていたが、一向にその言葉は発せられない。

A「あれ…嘘じゃないんですか？」

幻太郎「えぇ、小生がいつでも嘘をついているだなんて大間違いですよ」

A「すみません…」

幻太郎「まぁ、嘘ですけどね」

相変わらず腹は立つけど

A「このムカつく感じ久々です」

久しぶりに話せたことが嬉しいなんて相当やられている。

幻太郎「ムカついているんですか？

そのわりにはとても嬉しそうですね」

A「…笑いながら怒るタイプなんです」

幻太郎「はは、貴女は本当に変な人だ」

A「夢野先生には言われたくないです。」

心底可笑しそうに笑う彼を少しムッとしながら見つめれば、さらに笑う。

幻太郎「貴女といると本当に退屈しませんね」

A「それは良かったです。

…私も、夢野先生と話すの嫌いじゃないですよ」

幻太郎「おやおや、それは嬉しいですねぇ」

嫌いじゃないではなく、普通に好きと言えたらどれだけいいか。

夢野先生のことを好きと言うわけではないというのに。

日常に溢れた好きという言葉につい抵抗を感じて、意識してしまう。

本当に可愛くない。

帝統「おい！二人でイチャイチャしてんじゃねーよ！俺も混ぜろ！」

私の頭の上に帝統の腕が置かれる。

A「重い…」

幻太郎「貴方たち、いつの間にそんな仲良くなったんです？」

帝統「んー、やっぱあれじゃね？一緒に寝た日」

A「なんか語弊がある！」

帝統「間違ってはねーだろ！」

そうやって言い合う私たちを少し複雑そうに夢野先生が見ていたことを私は知らない。

幻太郎「はぁ…やれやれよそでやれ」

ため息と共に吐き出された言葉でやっと我に帰る。

帝統「つかよ、お前帰らなくて大丈夫か？」

A「あ、そうだね。」

幻太郎「送っていきますよ」

A「…いえ、夢野先生は今すぐにでも寝た方がいいと思います。」

帝統「じゃ、俺行くわ」

ご飯を食べたといってもさっきまでふらふらだったのだ。途中で倒れてしまったらと思うと心配で仕方ない。

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