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指定された金額を再びカードで払い、出口で待つセンラさんの元に歩いていく。赤い絨毯に沈み込んだヒールは跡を残すこともなく元の形に戻り、豪華な照明に包まれながらゆっくりと足を進める。
「……離れたくないわ」
「俺も。……なあ、」
ぽつりと呟いた私に返事をするように壁にもたれかかっていた上体を起こしたセンラさんは、その甘い瞳を僅かに細めて私と目を合わせた。
「少しだけ待っててくれへん？」
意図が掴めずに首を傾げた私に「あと一時間もあれば仕事片付くから。」と重ねたセンラさんの瞳の奥には欲望の色が見え隠れしていた。どきりと心臓が跳ねる。
「……ん。一時間後にお店の前で待ってるね」
「ありがとう」
ふわりと微笑んだセンラさんに私もにこりと静かに微笑み返す。秘密を共有する者同士のアイコンタクトと仮面の下に隠された欲望。がやがやと外野の音に掻き消されるように、私たちの秘密の約束は宙に溶けていった。
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一時間どこで時間を潰そうかと思考を巡らせる。この深夜帯にこの周辺を歩いている人と言えば、やはり夜の仕事に関係している人が多い印象だ。
真っ赤なアイシャドウが塗られた大きな瞳を更に見開いてスマホをガン見する可愛らしい女性や、煙草を吸いながら石段に腰掛ける金髪にピアスの空いた男性。どこまでも自由で無機質で空間。
「……？」
不意に反対側の路地から複数人の影が見えた。恐らく私以外の者には死角になっているであろうそこには、目を凝らすと二人の影が揺らめいている。
何かを話しているのだろうか？時々女性の癇癪のような話し声が聞こえてきては、がやがやとした周囲の話し声に掻き消されていく。どうやら揉め事のようだ。
「っっっばか！！！！！！！！」
スパーンッ！とハリセンで思い切り何かを叩いたかのような鋭い音が響く。見なかったことにしようと目を逸らした私も流石にこの音には驚いて、何事だろうと路地の方に目を向けた。
真っ赤に目を腫らして涙でぐちゃぐちゃの女性が悔しげな表情で路地から飛び出してくる。意味もなく傍観している間に女性は遠くの方へ走り去ってしまい、恐らく残されたもう一人の方の影が路地の奥で揺れた。
「ええ…」
随分と面倒な現場に出くわしたものだ。先程のハリセンのような音もきっと女性側がビンタでもしたのだろう。残されたもう一人は、路地の壁に背中を凭れ掛けさせたままずるずると地面に座り込んでしまった。
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
