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指先から伝わる温度に呼吸を忘れる。ただ真っ直ぐに私を見つめるうらたさんの瞳に迷いの色は一切見えず、純粋な目線に私は後ろめたさを覚えた。
「辛いときは俺のところに来て。Aさんの悲しみも寂しさも俺が全部受け止める。……身体も、全部。」
「っ」
「自分の知らないところでAさんが傷付いてるところは見たくない。…お願い、」
ぱっちりとした瞳が零れ落ちる言葉と共に少しずつ歪んでいって、やがて本音を全て出し切ったように彼は私の手をぎゅっと握ったまま顔を俯かせてしまった。
「…うらたさん」
「っ」
「ありがとう。その気持ち、すごく嬉しい。」
素直にお礼を伝える。この街には似合わぬどこまでも真っ直ぐで汚れのない彼の綺麗な感情。その瞳に私を、感情を、この街の汚れを背負わせたくなかった。
「……どうして、そこまでしてくれるの？」
ただ、その理由を私は知らない。高校の同級生である以外に私たちに大きな共通点はない。そしてここまで墜ちてしまった私に近寄ってくれる人など居ないと思っていたのに。
「____Aさんが好きだから。」
青色のラムネ瓶の蓋を開けたときのような、ぷしゅっと爽快音と共にコロンとビー玉が音を立てて落ちたときのような、そんな感覚がした。
「最初はこんなこと言う予定じゃなかったのに」
「……」
「……ごめん。我慢できなかった。」
コロンと音を立てて落ちたはずのビー玉が、瓶の窪みに嵌って動けずにいる。瓶外の光に乱反射してキラキラと輝く透明なビー玉は、その箱庭から逃げ出せずにただ静かに存在している。
現実から目を逸らしたげに歪んだ表情をしても尚、うらたさんの横顔は美しかった。薄い唇を噛み締める彼の肩は小さく震えていて、少しでも触れたらどこか遠い場所に行ってしまう気がした。
「俺以外の三人と関わりに俺の入る隙はなかったから、最初は真っ先に頼れるような相談相手になりたかった」
「……」
「誰とどんな関係になろうと、俺はAさんの友人として関わろうと思ってたのに」
「……うん。」
「ねえ、Aさん」
ゆっくりと顔を上げたうらたさんの両目には、まるでしゃぼん玉のようなきらきらと輝く薄い膜が張っていた。言葉を忘れてその瞳に吸い取られるように魅入っていると、彼は僅かに目を瞬かせた。
「俺を、Aさんの隣に立たせて。」
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
