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「で、聞かせてくれる？」
「え？」
「俺が電話かけたとき、何があったの」
二人並んで椅子に腰掛けると同時に、何やらニコニコ顔で私を覗き込んでくるうらたさん。綺麗に重ねられた両手の指に顎を乗せた彼は、表情と雰囲気だけで私に質問に答えるよう求める。
「…えっと、」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「……ちなみに状況は想像ついてる。質問してるのは、何であんなに声が暗かったのかってこと。」
沈黙になった私に痺れを切らしたのか、うらたさんは小さな溜め息と共に質問内容の補足をした。滲み出る呆れの声色の中に、私の心情を伺うような小さな優しさと気遣いが宙に溶けていく。
「……相手の人、ゴム付けてなかったの」
「は？」
「途中で外してたことに気付かなかった。力の差で勝てるわけもなくて、案の定中に出されちゃって」
「……」
「……馬鹿だよね、まさに飛んで火に入る夏の虫。」
言葉に出したことで心の整理が付いた気がした。混乱と動揺で乱れていた感情が、この落ち着いた空間で誰かに話したことで静かに絡まりが解けるような感覚。
「……うらたさん？」
不意に顔を横に向ければ、何やら下を向いてわなわな震えているうらたさんに驚いて声を掛ける。先程まで綺麗に交差されていた両手の指はグッと強く握り締められていた。
「うらたさん」
「！……ああ、ごめん。悔しくてつい」
「悔しい…？」
私の繰り返した言葉にハッと目を見開いた彼は、何かに堪えるように「俺がその場にいたらぶん殴ってやったのに」とその端正な顔を歪めた。
「ねえ、Aさん」
「は、はい」
「Aさんは何で今日その男と会ったの？」
「なんで、って」
「愛が欲しいの？それとも快楽のため？」
翡翠の瞳がじっと私を見つめている。逸らすこともできずにただ息を飲んでいると、うらたさんは答えを急かすように僅かに目を細めた。
「……何かに求められたかった、のかな」
私の言葉にうらたさんは目を伏せた。傷ひとつない陶器のようなきめ細やかで白い肌を見つめていると、不意にうらたさんは私の手に自らの手をそっと重ねた。
「_____俺にして。」
何かを懇願するように。本音をこの一言に無理やり全て詰め込んだように。堪えきれずに言葉を零した彼は、どこまでも綺麗な声をしていた。
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
