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自宅の鍵を片手にドアを開けた私は、後ろに立っているセンラさんを中に招いてやる。彼が入ったのを確認してから靴を脱いだ私は「タオル持ってくるね」と洗面所に駆け足で向かった。
「いまお湯沸かしてるから、お風呂入っている間に服を乾燥機にかけるね」
「っ……うん、ほんまにありがとう」
「気にしないで。服乾くまでの代わりの服は……私の姉のしかないんだけど大丈夫？」
その言葉にセンラさんがはっと目を見開いた。予想通りの反応に目を伏せた私は、きゅうと締め付けられる心臓に見て見ぬふりをして鎧の笑顔を向けた。
「具合悪ければ遠慮なく言ってね」
そのまま逃げるように別の部屋に入る。自室の箪笥に纏められた姉の服を掻き集めるように探すと、予想通りセンラさんにも着れそうなサイズのパーカーと黒いズボンが出てくる。
悲しさや寂しさの裏側に、嫉妬や憎しみに似た醜い感情たちが私の胸を支配していく。負の感情に囚われる己自身に嫌悪を抱いて、パン！と己の両頬をビンタした。
▽
私には一人の姉がいる。
一歳年上で面倒見が良く、私は小さい頃から両親以上に懐いていた。幼稚園から小学校と中学校、高校までも追いかけるように同じ学校に入学するほどである。
そんな姉は、元々は兄だった。
自覚をしたのは高校生の頃だろうか。昔から可愛いもの好きで料理裁縫が得意で、よく一緒に遊ぶ友達も女の子ばかり。
伸ばしたいからと短髪ではなく胸元まで伸ばされた髪は、しっかりとケアが行き届いた綺麗な黒髪。
まるで女の子のような風貌。両親も私自身も特にそれらは否定せず、本人の好きなようにさせていた。
『私、手術したい』
高校一年生のある日、家族で食卓を囲んでいると何かを決心したような表情の兄がそう一言告げた。最近はメイクの研究にハマっているようで、薄らと目蓋に乗せられたラメがきらきらと輝いていた。
兄は本物の女の子になった。自分の信念を貫く彼女を素直に尊敬していた私は自然と彼女を「姉」と呼ぶようになり、彼女の夢を心から応援していた。
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
