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「うらたさん……強……」
「ふふ」
気付くとキャラクターの背中さえ見えなくなるほど遠いところまで走っているうらたさんに対して、私は曲がり角でバナナに体当たりしたり前方から飛んでくる甲羅に見事ぶつかったりと前途多難である。
「……カーブのところ、俺の動きを真似してみて」
「？」
「上のボタンを押しながらこうするの。そうすれば時間短縮になるよ」
不意に顔を近付けてきたうらたさんは、手元を私に見せながら丁寧に教えてくれる。伏せられた睫毛は綺麗な曲線を描いており、触れれば消えてしまいそうな儚さがあった。
「もっかいやろっか。今度は5位以内を目指そ」
「うん。ありがとう」
ミニゲームをプレイするだけなのに、まるでイヤイヤ期の幼い子をあやすような優しい声音のうらたさんにじんわりと心が温かくなる。彼自身の兄気質な性格が、私の本来の姿である妹気質な性格にカチリと余白を残さずに嵌るような感覚。
「Aさんはさ」
「ん？」
「4人の誰かが好きなの？」
崖の奥に見えるうらたさんのキャラクターが甲羅を投げてきたことに気付いて避けていると、まるで日常会話のようなテンポで彼が尋ねてきた。意味が汲み取れずに右から左に抜けていく。
「……え？」
「あれ？違った？」
不思議そうな彼の声が聞こえてきた頃には、先程まで視界の奥で走行していた緑色のキャラクターは画面の奥に消えていた。その隙を狙うように置かれたバナナを避けながら真っ直ぐに走行させる。
「てっきりセンラ辺りが好きなのかなって思ってたんだけど」
「センラさん？」
「うん。センラと坂田で迷ってたけど、昨日の話聞いてからは俺の中でセンラ確定してた」
男の勘、恐るべし。咄嗟に否定出来ずにいる私には見向きもせずにカタカタとボタンを操作している彼は、いつの間にか三周を終えてフィニッシュしていた。
私もようやく見えてきたゴールに向かって走りながら何と返答するべきなのか思案する。あまりに唐突な質問に脳がやや追いついていないのも事実である。
「私昨日センラさんの話したっけ？」
「さあ？どうだろう」
「……好きだよ。センラさんのこと」
私の質問をはぐらかすように目線を逸らした彼に、私は一瞬迷った後にそっと告げる。ピクっと小さく肩を揺らしたうらたさんは、私の返答に薄く微笑んだ。
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
