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おでこを合わせて近距離のままお互いを見つめ合う私たちの様子は、傍から見れば異色なのだろう。それでも柔らかな波紋のように広がる安心感を、私はたしかにじんわりと感じていた。
「ねえ、センラさん」
布団の中で子どもに言い聞かせるように、小さく柔らかく名前を呼んだ私の声に「なあに？」と同様に柔らかい声音で返答してきたセンラさん。
「貴方が好き」
春の草原に柔らかく吹いたそよ風のような心情。荒れることも乱れることもなく、ただ一定の脈を刻みながら私とセンラさんを繋ぐ架け橋のようだ。
穏やかな感情のまま告白した私は、無意識の内に本音が唇から溢れていた。たった二文字で表せてしまう感情の裏側に潜む名前を私はまだ知らない。
「……」
彼は無言のまま儚げに微笑んだ。肯定も否定も口にせずに無言を貫くセンラさんからは、言葉を出さずとも痛いほど言いたいことが伝わってくる。
じっと数秒間ほどお互いを見つめ合って、ふと片方の瞬きの瞬間にぱっと顔を離した。
「この腕時計、数少ない姉の形見なの」
「………うん」
「預かっててくれて嬉しかった。ありがとう」
にこりと上品に笑顔を浮かべる私に、一瞬寂しげな色を見せたセンラさんは直ぐに優しい笑顔を浮かべる。彼の瞳の奥に私が映っていないような気がした。
「じゃあね」
くるりと背を向ける。どこかすっきりとした穏やかな心が軽やかに跳ねるように、もやもやとしていた糸が綺麗に解かれていく。
“好き”の二文字の裏側に潜むもう一つの感情の名前は、どこまでも行く宛てのない妹としての嫉妬心と寂しさだった。
「っ……」
ぎゅっと手元の腕時計を胸元で抱きしめる。心に空いた穴は注ぎきれていない愛に飢渇して、今も尚愛を求めては寂しさを埋めようとする。
察したくなくても察してしまった一つの事実。今思えば学生時代には学年こそ違えど沢山関わりのあった二人。まさかと思って信じられなかった数時間前の自分。そして今は心に確信していること。
センラさんの片想いは、一生叶わない。
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らむ(プロフ) - みさきさん» みさき様 コメントありがとうございます！更新速度は遅くなるかもしれませんが、完結までお付き合いいただけると嬉しいです✿ (2022年9月19日 12時) (
レス) @page44 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
みさき - 頑張ってください！ (2022年7月27日 0時) (レス) @page39 id: 734386537b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - アヒルさん» アヒル様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりでございます✿今後もどうぞ宜しくお願いいたします。 (2022年7月2日 9時) (レス) @page19 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
アヒル - らむさん、やばいです。 めちゃくちゃ好きすぎて、友達にすすめちゃいましたｗｗ これからも、頑張ってください！ (2022年7月2日 6時) (レス) @page1 id: f44091270b (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 翔さん» 翔様 コメントありがとうございます！当方の単なる妄想話にも関わらず、翔様に楽しんでいただけて嬉しい限りでございます。原曲もとても素敵な曲ですよね🌷今後も更新を続けてまいりますので、息抜きの際にでも是非お楽しみくださいませ。 (2022年6月30日 0時) (レス) @page11 id: 246795febf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむ | 作成日時：2022年6月27日 10時
